レールスプリッタ

2023年4月14日 (金)

トラ技Jr.のレールスプリッタ回路

トラ技Jr. 2023年春号 に絡んで、「トラ技Jr.」の
バックナンバーを引っ張り出してきて眺めていたら
「レールスプリッタ回路」を発見!

トラ技Jr.2018年秋 通巻35号
J31

こんなレールスプリッタが記されていました。

J32

説明文には
  小容量のアルミ電解コンデンサは1Ω近い
  ESRがあるので、汎用OPアンプとの組み合
  わせなら通常は発振しない
  導電性高分子/セラミックなどの低ERコンデンサ
  は使用できない。

著者は「松村 南」さん。
  トラ技の目次を検索すると、1990年~2000年に
  オーディオやビデオ関連の記事を書かれています。

基準電圧IC TL431 のデータシートを見ると、並列に
入れるコンデンサの値によっては「不安定になるぞ」っ
という注意書きがあります。 (安定動作条件のグラフ)

昔からこのグラフが気になってしかたがないのです。
実際に確かめたことはありませんが、パスコンとして
よく使う0.1uFあたりがいちばん怖そうに描かれています。

値を大きくすると安定するように記されていますが、
電源オン時の起動が遅れ、それが他に影響するかも
しれません。
結局、「発振が怖いから無くても良い」に落ち着き
ます。

こんなことも。
良かれと思って付けたコンデンサが・・・

「通常は発振しない」という文言ではなく、逆に発振する
条件(OPアンプ名とコンデンサの種類、値と負荷の具合)を
提示して欲しいところです。

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2023年2月10日 (金)

トラ技記事 オペアンプの出力段保護回路で

昔のトラ技をパラパラめくりしていたら・・・
2015年5月号。
特集 第1部 「百戦錬磨の回路図」。
Tt2_20230210084201

p.54に「OPアンプを破壊や誤動作から守る回路」として、
ダイオードを使った出力段の保護回路が載っています。
【図5】の下側回路(b)に違和感!
Tt1_20230210084401

上側の(a)は2倍の非反転アンプ。

問題は下側の(b)。
「ゲイン1倍」と記されているので、バッファアンプ
かと思いきや・・・
「R2」が反転入力と非反転入力間に入ってます。
  なんじゃこりゃ~?!
「ゲイン-1倍」の反転アンプを書き間違えたの
でしょうか?

R2があるとどんな動作に?
アンプがアンプとして働いている間は、2ピン・3ピン
間は同電位。
だとするとR2には電流が流れない。
ということは、直流的にはつながっていないのと同じ?
  アレレ?!

※追記
(b)の回路、こう描きたかったんじゃないかと推測。
Aa1_20230212101501
アナログデバイセズ AN-257 の【図8】、これは
ゲイン1はダメよの帯域幅80MHzの高速アンプが
対象で「話が違う」ようです。
しかし、「類似の回路がある」ということで、情報、
ありがとうございました。

「ゲイン1あかん」のオペアンプ、確か手持ち品であった
はずと探しましたら、 LT6014 を入れた袋に
G>=5で使え」っと赤書きしてありました。
これはGBW=1.4MHzと遅いけどローノイズ、低オフセット品。

LT6014のデータシートには、これはダメの1倍アンプ例。
Lt11
そして、1倍で使う時はこうしなさいと。
Lt12


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2022年12月29日 (木)

「レールスプリッタ」のいろんな呼称

アナデバのオペアンプ「OP293」を調べていて、
こんな回路に遭遇しました。
単電源回路で、電源電圧の1/2を生成する回路。
いわゆるレールスプリッタです。

0011_20221229100101

ここでの呼称は、
  《FALSE-GROUND

TIの専用IC「TLE2426」、このデータシートの中では
  《VIRTUAL GROUND
が使われています。

でも、TLE2426の製品概要には、
  「Rail Splitter Precision Virtual Grounds
「レールスプリッタ」という呼称が出てきています。

この他、《PHANTOM GROUND》という言い方もあるようです。
アクティブ・グラウンド》も。

OP-293での回路、発振止め用の抵抗とコンデンサが
入っていて、
  「負荷にコンデンサがつなぐときはこれが基本」
という感じになっています。

OP-293での解説文をピックアップしておきます。

O0012


※関連記事
2017年9月11日:1/2Vcc生成回路のコンデンサ
2022年6月22日:みんな「レールスプリッタ」に魅せられるんだ
2022年9月14日:トラ技で見つけた「レールスプリッタ」
2022年6月12日:4046・VCO回路の直線性改善方法

※「レールスプリッタ」という呼称、誰がいつから使い
  始めたのでしょうね?
 ヘッドホンアンプ愛好家が発端?

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2022年9月14日 (水)

トラ技で見つけた「レールスプリッタ」

自分ではぜったいに使わないだろうという回路が「レールスプリッタ」。
 ・2017年9月11日:1/2Vcc生成回路のコンデンサ
ずいぶん前ですが、ここで↑うだうだ言ってます。
最近だと↓。
 ・2022年6月22日:みんな「レールスプリッタ」に魅せられるんだ

ちょっと昔のトラ技を見ていて「ここにもあるぞ!」と
レールスプリッタ回路を発見。
でも、ちゃんと書いてるやん」と。

まず、2013年2月号
A1_20220914153701
この第9章。
 「オーディオ用電源回路のいろいろと作り方
    (著者は三田村規宏さん)
やはり、「レールスプリッタ」が出てきます。

A2_20220914153701

ここの、
  「仮想GNDその3…OPアンプによるレール・スプリッタ
の解説で、
  OPアンプの出力に大きなコンデンサが負荷として
  つながれた場合は…発振することがあります。
  …参考文献(1)で詳しく説明されています。
と。
で、(1)を見るとトラ技の2012年4月号
B1_20220914153801

特集5-3 単電源から両電源を作る方法
  (著者は佐藤尚一さん)

「やってはいけないランキング断トツNo1」
  OPアンプは出力にコンデンサを直結すると発振する

B2_20220914153801
B3_20220914153801

対策回路も図示されていますが、私は使わんだろうな。

B4_20220914153801

  この回路に±電源を供給して、入力をポテンショで
  ±可変できるようにすれば±出力の定電圧電源。
  短絡保護回路を入れておけば、ちょっと面白い
  実験用電源回路になるかと。
  プラスからマイナスへ、0Vを通過して電源電圧を
  連続可変できる。

  バッファしてないOPアンプ出力のでは、±15Vを
  出せる(0Vを通過して)試験用電圧発生器は作って
  あります。

※関連
2022年2月26日:オペアンプの出力につなぐ大容量コンデンサ ほんとにいいの?

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2022年6月22日 (水)

みんな「レールスプリッタ」に魅せられるんだ

秋月のチャージポンプIC(ICL7660互換品)
TJ7660N のデータシートを見てたら、こんな
レールスプリッタの回路例が出てました。
Aa1_20220622111301
このICで負電圧が出せるだから、普通に±電源にしたらっと
思うんですが・・・

  ・検索:レールスプリッタ

電源入力V+とVout(-出力)間に15Vを入れて、
GND間とで±7.5Vを得ようということのようです。

本家、インターシルのデータシートにも出ていました。

Aa2_20220622111401

※関連過去記事
1/2Vcc生成回路のコンデンサ
4046・VCO回路の直線性改善方法

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2017年9月11日 (月)

1/2Vcc生成回路のコンデンサ

トランジスタ技術、2017年10月号(最新号)
を見ていて、ちょいと気になる部分が・・・。
11_2

 

 

 

「続 電子楽器&エフェクタ回路集」という記事。
200ページの回路図。
12

 

図6の下側部分。
  (クリックで拡大↓)
13

 

この右側の「1/2Vcc」電圧を作っているところの「C7」、
これは許せるのか?
オペアンプの出力に直つなぎ。
202ページの図9、203ページの図11にも同様の回路が
でてきます。  いかがなもんでしょうね。

 

出力にコンデンサがつながるように設計された
定電圧ICや基準電圧ICならOKでしょうが、
汎用オペアンプの出力にコンデンサを直つなぎ
するのは・・・

 

注目点を別図にしておきます。
14

 

どうしてもコンデンサを入れたいというのなら、
こんな方法かな。
15

 

 

 

私の場合、1/2Vccを使うのは好きじゃありません。
出力電流が小さくて良い回路なら、負電圧コンバータIC
(チャージポンプ形式の)を使って、±電源で動くように
しちゃいます。

トラ技の過去記事を検索すると、この記事の著者
(富沢 瑞夫さん)さんの記事がたくさん出てきます。
その中から、2015年8月号で同様の回路を発見。
・p60 図3
11_3

・p61
12_2


出力コンデンサの値が大きいから発振(不安定に)
しないのか・・・

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