電源

2024年8月 2日 (金)

マイナス電圧をちょこっと作ってくれるIC

単電源オペアンプを使った直流アンプ、
  「困ったぞ」
となるのが、ゼロボルト付近の不感帯。

Ll1_20240802173601
A/Dコンバータと組み合わせると、値として出てく
るので「なんとかしたいなぁ」となります。

私の場合、あれこれ悩むより別部品が必要になっ
たとしても「マイナス電源」を付けちゃって
±電源でオペアンプを動かします。
チャージポンプ型の負電圧コンバータが便利かと。

トラ技2011年1月号の特集記事
  「定番デバイス 555」に、
チャージポンプICの特性調査を載せてもらいました。

※関連
2018年7月23日:反転型チャージ・ポンプIC:LM2776

先日、TIのオペアンプ TLV9152 のデータシートで、
オペアンプの負電源に入れられた何やら見慣れない
型番のICが目にとまりました。
Ll2_20240802173901 

型番が LM7705
  三端子レギュレータっぽい名称。
  7805や7905の親戚かと思う型番です。

調べてみますと「負のバイアス・ジェネレータ
という名称。
英語だと「Negative Bias Generator

こんな回路例が示されています。
Ll3_20240802174101

出力電圧は安定化された「-0.23V」。
正側供給電圧にもよりますが、20mAほど
取れる性能です。

電圧が欲張らないのが面白いです。
最近のオペアンプ、電源供給電圧の最大が低いもの
が多くなってきてます。
例えばMCP6072(低オフセット品)だと6Vが最大。
±5Vでは使えないのです。
こんなオペアンプを使う場面で「ちょこっとマイナス電圧」
が役に立ちそうです。

DigiKeyで120円ほど。
高価なものではありませので、何かのときに使ってみますわ。

 

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2024年6月 8日 (土)

電源スイッチを無くす 操作スイッチの長押しでon/off

電池で駆動する装置の電源スイッチ、トグルスイッチ
を付けちゃうのがいちばんお手軽。
でも、
  電源を切られたくないときに切ってしまうかも
という不安が残ります。
  マイコン内部のEEPROMや外付けEEPROM、
  SDカードなどにデータを書いている時、
  勝手に切られたくない。

そんな時にも役に立つ手法です。
トランジスタ技術2024年6月号 p.88の
 「乾電池でマイコンを動かす!
  使えるキホン回路集」
でちょいと解説しています。
  ※この号には恥ずかしい記事 が載ってます

使うのは秋月電子の昇圧DC-DCコンバータモジュール。
  AE-XCL102D503CR-G
    おっと。在庫ゼロだぁ

Cc22_20240608094301

これの「EN端子(ICのCE端子)プルアップ抵抗」を
取り外して、こんなふうに使います。
1g12

浮いたENは外部の抵抗でプルダウン。
ENがLならスイッチングが止まるとともに、
VINとVOUTが切り離され、VINには電流が流れません。
   ※切り離されないタイプのICもあるので注意。

EN端子のH電圧(onする電圧)は0.8Vから。
最大が6.0VでVINより高くなってもOK。

今回の実験は、図中の緑枠内の回路。
デジトラ2個で組んだ「LOW BAT検出部」を
1ゲートロジックでもできるだろうという調査。
こんな接続。
1g13 
入力トレラントな「74LVC1G」(5ピン)を
使って、分圧抵抗を負荷にしたとき、
どれだけドロップするかを見ました。

Eon=HでDCコンが通電継続。
ゲートの出力がHになり、電池電圧が出てきます。

ORゲートの74LVC1G32があったので、
試してみました。
1g11
電源電圧3.3Vで、出力がHになった
時のドロップ電圧
 100kΩ  0.4mV
  10kΩ  4.0mV
  1kΩ  39mV

必要なのはこれだけだったのですが、
ちょいといけずして入力に「三角波」を
入れてみました。
  それで、上の図にプローブの絵を入れた

結果。
スレッショルド付近で激しく発振。
1g20
発振は50~60MHzくらい。

面白いのが、三角波の入力をやめても
(INを開放。プルダウンされている)
プローブをつないでいると、信号を切る
タイミングによっては発振が止まらない
のです。
IN/OUTのプローブがアンテナになるのでしょう。
なかなか怖い体験でした。


XCL102とXCL103 5V出力昇圧DC-DCコンバータ
秋月の5V出力昇圧DC-DCコンバータXCL102の起動電流

起動の失敗も体験していますが、EN端子を制御しての
on/offではうまいこと動いています。

1ゲートロジックICのBSch3V用部品ライブラリは、
この中にあれこれ入れてます。
  ・BSch3V用パーツライブラり

※関連
  ・マルチファンクション・ゲート 1G57,58,97,98
  ・究極のマルチファンクション・ゲート 1G99
  ・74LVC1G57と1G58で作るXNORゲートとXORゲート
     ↑
    XORゲートを使ったエッジ検出回路の電源電流


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2023年10月11日 (水)

電子負荷:Trの絶縁シートをどうしよう

120W電子負荷 予備実験#2 冷やすのはファンだ! では
パワートランジスタをヒートシンクにベタ付け。
ヒートシンク全体がプラス端子につながっていますので、
注意が必要(ちょっとじゃなくだいぶと)です。

TO-3Pタイプのシリコン絶縁シートを調べると、
・秋月
  TO-3PH
  マックエイト放熱シート(サーコン)CW-4
・共立
  信越化学工業 TC-30TAG-2
・Digikey
  「filter/熱/パッド-シート」
これを見ると、いろんな形状いろんな性能のが出てきます。

その性能、「熱伝導率 W/m・K」で示されている場合と
見慣れた「熱抵抗 ℃/W」で記されているものに分かれます。

  W/m・K表記は値が大きい方が熱を通す。
  ℃/Wだと小さい方が熱を通す。

例えば、数値として、
  TO-3PH   1.1W/m・K
  CW-4    0.39℃/W
  TC-30TAG-2 1.4W/m・K

熱伝導率の逆数が熱抵抗になるということですので、
1.1W/m・Kは0.91℃/Wになる勘定。

秋月だと、値の張るCW-4、TO-3PHの2倍以上、ヒートシンク
に熱を伝えられるという解釈になるでしょか。

ただ、Digikeyの表では熱抵抗と熱伝導率が逆数の値に
なっていないものもあって、単純に逆数にしているのじゃなく、
測定方法(温度とか)が異なるということなのかもしれません。
「熱抵抗」の単位として「℃/W」ではなく「cm2・K/W」という
のも出てきます。
この点、どうなんだという気がします。

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2023年10月10日 (火)

120W電子負荷 予備実験#2 冷やすのはファンだ!

2023年10月8日:12V・10A:120W電子負荷 予備実験の続き。
およその動きが見えてきたので、テストしたい
スイッチング電源につないでみました。

ところが・・・件の電源から12Vで10Aが出てくれません。
8.2Aくらいで保護がかかってしまい電圧が落ちるのです。
ということはこの電源のスペックは「12V・100W」のようです。
   ※中華のスペック表記、さすがです。

気を取り直して、温度を測れるようにしました。
使ったのはフィルムではさみ込まれた「103JT」サーミスタ。
応答性が良いのです。

写真のように4点の温度を測りました。

Tt11_20231010121501
Tt12_20231010121501

・TR8の表面温度
  サーミスタのフイルムをTR表面にくっつくよう
  圧着端子でおさえました。
・TR7の表面温度
  圧着端子の円筒圧着部にサーミスタを挿入して
  シリコンゴムで固定。
  これをTRにネジ止めします。
・ヒートシンク表面温度。
  TR7とTR8の間のネジ穴に、同じように作った
  サーミスタを固定。
・基準抵抗 0.1Ω 50W
  抵抗のネジ止め固定足に。

左のはサーミスタをシリコンゴムで圧着端子の円筒部
に固定。
右は直に押さえ込み。
Tt13

通電後、ヒートシンク全体が温まってきます。
10分ほど経過でTR8の測定温度が70℃を突破。
まだまだ上昇しそうです。
  この結果からファン無しという目論見は
  あきらめました。
Cap010_20231010121701

そこでヒートシンクの上にファンを乗せて冷やして
みました。

ファンを回すとヒートシンクが徐々に冷えて、全体
の温度が30℃ほど低下。
数分で安定しました。

Tt14

上にファンを置いて通風。
Tt15

※記された定格10Aを出力できなかった中華製の
 12V出力スイッチング電源
Tt21
   とりあえず100Wはクリア

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2023年10月 9日 (月)

バイポーラトランジスタ2SC3519A-YのhFE

2023年10月8日:12V・10A:120W電子負荷 予備実験
のために、バイポーラトランジスタ2SC3519A-Y
を10個、秋月で買いました。

6個使った実験回路、そのうちTR1のhFEが
大きかったようなので取り外して、残4個の
トランジスタとともに調べてみました。

ベース駆動は電池駆動の10mA定電流源
コレクタに定電圧電源をつなぎ2.0Vを供給。
  ※電圧を高くすると発熱するので
Cc21_20231009110601

コレクタ電流の読み(アンペア値を100倍)からhFEが
分かります。
 TR1 130
-------
 TR7 113  TR7~10は残の4個
 TR8  96
 TR9  99
 TR10 96

Cc22_20231009110701

やはり、TR1のhFEが抜き出て大きかったようです。
  ※最初からhFEを調べとけば良かった・・・

 

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2023年10月 8日 (日)

12V・10A:120W電子負荷 予備実験

2023年9月25日:やっぱりあかん パワーMOS FETの並列接続
ということで、パワーMOS FETはやめて、
バイポーラトランジシタの並列駆動を試してみました。

定電流負荷回路で電力素子を飛ばすのは、電流オーバーじゃなく
発熱が原因ということが多いのじゃないでしょか。
   その例↓
  ・ACアダプタ試験回路:電気は熱になるんです…

ということで、今回は「6パラ」で予備実験。
T11_20231008165501

目標が10Aですのでトランジスタ一つあたりの電流は1.7A。
そして、耐えなければならない電力消費は一つあたり20W。
20Wといやハンダゴテの電力。
  集中すればハンダを溶かすほどの熱。

使ったヒートシンクは170mm×180mm×35mm。
30mmの長さのフィンが10mm間隔で並んでいます。
  何かのジャンク品
Tt11_20231008165601
オペアンプとMOS-FETを使った定電流負荷回路
これと同じように電池で運用できればと考えてるんで、
できればファン無しで自然空冷したいと考えています。
シリコンの絶縁シートははさまず、直接ヒートシンクに
ネジ止め。
ヒートシンクには負荷のプラス電圧が加わります。

トランジスタ部と制御回路を分けて実験。
定数は書き込んでませんが、オペアンプ部は
普通の定電流回路。
T12_20231008165601
Tt12

トランジスタのエミッタに入れた0.1Ω抵抗の
両端電圧を計ればそれぞれのトランジスタに分かれた
電流値が読めます。
そしてベース抵抗両端の電圧を計ればベース電流が
分かります。  そこからhFEを計算できます。

予備実験ですので、電力が上がる12Vの供給はひかえて、
「6V・12A」で試してみました。
   それでも72W。
TR1~TR6の0.1Ωエミッタ抵抗両端の電圧と
33Ωベース抵抗電圧はこんな具合。

    0.1Ω  33Ω
 TR1 0.227V 0.454V
 TR2 0.193V 0.491V
 TR3 0.199V 0.483V
 TR4 0.195V 0.483V
 TR5 0.199V 0.479V
 TR6 0.186V 0.493V

12Aですので2Aで均等になれば良いのですが、
TR1が他に比べて2割ほど余計に食っていました。

この電圧からおよそのhFEを計算してみると

 TR1 165
 TR2 130
 TR3 136
 TR4 133
 TR5 137
 TR6 125

TR1のhFEが他より大きくなっています。
hFEの事前選別は必要なようです。

温度の上がり具合をサーミスタ温度計で測って
どうまとめるかを決めたいと思ってます。

※電流を変えた時のVgとVs。
 Trのベースを駆動する2SK2232の
    ゲート電圧とソース電圧(GND基準)
 --------------
  1A   2.3V  0.8V
  5A   3.2V  1.5V
  10A  4.1V  2.4V
  12A  4.5V  2.7V

電流が大きくなると、オペアンプの出力電圧が
5V電源では厳しくなってきます。

※追記
2023年10月9日:バイポーラトランジスタ2SC3519A-YのhFE


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2023年9月25日 (月)

やっぱりあかん パワーMOS FETの並列接続

・目的 12V・10A電源の特性調査用
    定電流負荷回路の製作

・120Wの電力を受けられるように

過去、定電流回路(定電流負荷)をあれこれ作って
きましたが、120Wというのは未体験。

電流検出抵抗の電圧降下をフィードバックして
パワーMOS FETのゲート電圧を制御というのは
変わりませんが、問題はパワー。

※過去の失敗談
2014年03月26日:ACアダプタ試験回路:電気は熱になるんです…
※関連
2020年8月27日:オペアンプとMOS FETを使った定電流回路・・・電子負荷回路・・・
2021年4月4日:オペアンプとMOS-FETを使った定電流負荷回路
2011年09月23日:並列抵抗で 250W
2011年09月26日:電子負荷稼働中 菊水電子製 レンタル品

この電力、一つのFETじゃとても無理。
ということは並列接続して発熱を分散。

こんなFETの買い置きが残っていたんで並列接続を
試してみました。 ・秋月電子:60V・100A・255W

まず基礎知識。 FETの温度特性、

・温度が上がるとオン抵抗が大きくなる。
 ということは、並列接続で電流が流れて
 温度が上がった素子は、オン抵抗が大きく
 なることで電流が減る。
 並列接続での熱暴走はしない。

・しかし! これはスイッチングしてるときの話。
 電子負荷のようなリニア領域での制御では、
 Vth、Vgsの特性が重要。

・残念ながら、温度とドレイン電流の関係は
 並列接続には向いていない。
 一定のVgsでも温度が上がるとドレイン電流が増大。
 リニア制御では、温度が上がったらその石に電流が
 集中してしまう。

温度とオン抵抗のグラフ。
F22

温度が上がるとオン抵抗が大きくなる様子が
見えてます。
しかし、これはVgs=10Vとゲートが十分にドライブ
された状態の話。

温度とドレイン電流の関係がこれ。
F21_20230925165201

ドレイン電流の立ち上がり部分、Vgsが一定でも温度が上がると
電流が増えちゃう様子が浮かんでいます。

ということは、単純にこんなつなぎ方だと、消費電力を
分散できないという話。
F11_20230925165301
FETを2つ使って、実際に試してみました。
  特性は選別していません。
  パーツボックスにあった「TK100E06」FETを
  任意に取り出して配線。
  ヒートシンクは17cm四角。厚さ35mmの大きいの。

ドレイン側に抵抗を入れてそのドロップを見ます。
電流がアンバランスになると、電圧ドロップが
どんどん大きくなります。
F12_20230925165401
流した電流は1A。
電圧が12Vですので、それぞれ6Wを受け持ってくれれば
okなんですが・・・

チャートレコーダー(プリンタシールド応用) で記録します。
G10
時間経過とともに発熱してQ2側の電流が増大。
Q1には電流が流れなくなり、「なんのための並列!?」
という状態に。
単純なつなぎではうまいこと行きません。

そこで、FETのソース側に抵抗を入れてアンバランスを
吸収できるようにしてみました。
電流が大きくなるとVgsを下げる方向に働きます。
まず「0.47Ω」。
F13_20230925165901

これだと、8割くらいの電流差に落ち着きます。
G11_20230925165901
途中で2A→3Aに増やしてます。

ソース抵抗を1.0Ωすると、こんなグラフに。
G12_20230925165901

しかし、1.0Ωだとこの抵抗の発熱がひどくなってきます。
5Wじゃ足りません。

どうしたものかと思案中。
トランジスタ技術2015年1月号の方法・・・
FETごとにアンプと電流検出抵抗を設けて、
共通の制御電圧で電流を設定します。

GND側の配線抵抗の影響は差動アンプでキャンセル
しちゃうというアイデアです。

F14
記事ではFETを3コ使って40Wを目指しています。

ゲインのある差動アンプ(電流検出アンプ)を使うと
電流検出抵抗の値を小さくできるし。

どんなもんかな。

※実験の様子
Tt11_20230925172501

※追記
ソースに入れたバランス抵抗。
バイポーラトランジスタならVbe電圧の0.7~0.8Vあたりで
バランスが得られます。
それが今回のMOS FETだと4~5V。
MOS FETだとVgs電圧が大きいぶん、効きが悪くなります。

オペアンプの出力にFETを入れて、そのソース電流で
バイポーラトランジスタのベースを駆動。
これだとどうでしょう。
うまくバランスをとってくれるかな。

※追実験
手持ちのTO-220やTO-3Pのバイポーラ・トランジスタ、
高圧スイッチング用のばかり。
2SD880と2SD768(ダーリントン)が発掘できました。
こんな回路で実験。
Cc11_20230926164701
こんな接続で、バランスがうまく行きました。
0.1ΩでもOK。
でもダーリントンの2SD768にするとダメ。
0.1Ωでは電流が片寄ります。
電流検出抵抗を一つだけにしておきたいんで
トラ技2015年1月号方式は「ちょっとなぁ」
なんです。

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2023年8月21日 (月)

アマゾンで買った5V出力昇圧型DC-DCコンバータモジュール

きもだめし用人感センサーといっしょにアマゾンで買ったのが
+5V出力の昇圧型DC-DCコンバータ基板。

Az10

これを試してみました。
  ※ふだんは秋月のXCL102とXCL103 5V出力昇圧DC-DCコンバータ
   が常用品。
  ※あれこれ注意点はあるけど

測定装置
Az12

Az13

出力側に100uFの電解コンデンサを付けました。

Az14

入力電圧を0.1Vずつ変えながら、負荷電流を増やして
(10mAステップ)いきます。
出力が4.5Vまで低下するか、入力側電流が1.0Aを越えると
中止して、次の電圧(0.1Vアップ)へ。

こんなグラフになりました。
Az11

リップルの様子を見てみないといけません。
  ※この回路にはリップル電圧の測定回路を
   載せていないので。

負荷がある状態での起動可能電圧も重要です。
これも計らないと。

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2023年1月30日 (月)

電流検出アンプ 入力端子になぜかマイナスが出てくる

過去、あれこれ電流検出アンプを使ってきましたが
「謎」の動作に遭遇。
使ったのはTIのINA281A3 。 100倍のアンプです。

回路電源Vsには+5Vを供給。
Rsenseはとりあえず0.1Ω。
IN+とGND間にCVCC電源をつないで、
IN-とGND間に定電流負荷を。

これでちゃんと。負荷電流に比例した出力電圧が
出てきます。
  ※これはあたりまえにプラスだけ

I11_20230130103001

ところが・・・・
IN+へつなげている負荷への供給電源を外すと・・・
IN+端子とIN-端子に「マイナスの電圧」が出現する
のです。

Rsenseの抵抗とIN-側の負荷を外しオープンにすると
およそ「-7.7V」が出現します。

ICの電源は+5V。
プラス電源だけの回路のマイナス電圧が出現で、
なんじゃこりゃ?

負の電圧を発生する可能性は・・・ICの中味だけ。

GNDへの短絡電流は約「-40μA」。
アンプのバイアス電流っぽい。

ブロック図や回路の動作解説には記されていませんが、
ICの内部でチョッパー回路が使われていて、そこで
作られたマイナス電圧が出てくるのかもしれません。


※追記
同種の電流検出アンプに INA290があります。
  ※アンプ後段にFETを付加して電流と抵抗比で
   ゲインを決める方式。
IN281とINA290のデータシートと比べると、
こんな違いが記されています。

まずIN+、IN-端子にマイナス電圧が出たINA281。

H11_20230131084001
入力電圧がマイナスまでOKと。

そしてINA290。
H12_20230131084001

こちらはプラスの入力だけ。

特性のグラフには、最低入力電圧が電源電圧に
依存する様子が示されています。
H13_20230131084201
電源電圧が5Vなら、計れる最低電圧が2.7V
と規制されてしまいます。

INA281は「マイナスまで計れるぞ」っというところの
構造の違いがIN+、IN-端子の電圧に出ているのだろうと
推測してます。

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2023年1月13日 (金)

Arduino UNOで0.00~40.00mA定電流負荷回路

過去、あれこれと定電流回路を紹介してますが、
今回のは電流は少なめ。
2023年1月 2日:PWMでD/A変換:アナログマルチプレクサの応用で
2023年1月 7日:PWMでD/A変換:アナログマルチプレクサの応用、解決方法

この続きで、「4~20mA電流ループ・インターフェース」回路用の
実験用定電流回路です。

計測系での4~20mA電流ループ・インターフェース、こんな
つなぎ方があります。

・装置側が電源を持っていて、計器側は
 その電流をちょっともらって回路を動かし、
 結果を4~20mAの電流にして返す構成。
 2線でつなげます。
C21_20230113101901
ちょっとの電流で動かせる圧力センサーとか
温度センサーなど。

・計器側の電流消費が大きい時は、装置側から
 電源を供給。
 3線接続。
C22_20230113101901

・計器側は自分で電源を持っていて、
 測定値を4~20mAで出力。
 制御装置からの供給だと4線で接続。
C23_20230113102001

こんな回路のテストには4~20mAの電流発生器
あるいは定電流負荷回路が必要になります。
  ※中華製のが安く出ているようですが・・・

計器の真似を(装置側から電源をもらって動作)
しようとしてもよかったんですが、汎用的に
使える吸い込み型の定電流回路=定電流負荷
にして、
  「PWM+LPFによるDACの能力」
を確かめてみました。
  ※電流ループだと、電流の向きさえ合わ
   せれば定電流回路はどこにでもつなげる。

吸い込み型の定電流回路、基本はこんなの。
C13_20230113102101

ボリュームやポテンショ、あるいはスイッチで
Vp電圧を操作して、「Vp÷Rs」で電流を決める
という方法です。

設定した電流を読む方法が、
 ・ループの途中に電流計を入れる。
 ・Rs両端の電圧から電流値を計算。
と、いうのが普通。

今回は、
  PWM+LPFで出したVp電圧と、検出抵抗Rs値を信じて、
  PWMのデューティを変えて電流値を可変出力。
という方法を使いました。

ブロック図で示すとこんな具合。

C14_20230113102301

校正モードで設定するのは、デューティ100%
(MPXのVref選択入力がいつもH)のフルスケール電流値。
これを「0.01mA」単位の読みで(別の神様電流計で計測)
設定します。
  ※今回はフルスケールで12bitあたりを狙っています。

校正時、デューティ100%で仮に40.00mAが出てきたと
すると、PWMでのデューティ設定範囲は「0~3999」
にします。
つまり、デューティ0/4000~3999/4000が範囲。

デューティ比がそのまま「mA」値になり、
「00.00~39.99mA」と0.01mA単位で設定できるはず・・・
そんな目論見です。

そして、0.00mA→0.01mA→0.02mA→という最小桁を
安定して可変する出力というのもやってみたかった
制御で、そのために
 ・オフセット電圧の小さなオペアンプを選ぶ。
 ・バイアス電流も小さいの。
 ・±電源で動作させる。 ぜいたくに。

使ったケースは
2022年8月24日:パルスジェネレータを作ってみた:箱に入れた
での、ダイソー・100円(税別)樹脂ケースです。

C12_20230113102501

FLUKEを電流計モードにして操作してらほんとにぴったし。
エエ感じにできました。
手動操作だから PWM+LPF でも時間遅れは気になりません。
  ※セトリング時間、なに?それ?のモード

C11_20230113102501

「0.01mA」桁の操作がそのままテスターの読みに
出ます。
電流の読みを見ながらポテンショを左右に微調という
操作とは違う感覚です。

Rsを小さくすれば電流値を大きくできます。
今は20Ωで40mAですが、2Ωなら400mA。0.2Ωなら4Aに。

  ※電流を大きくしようとすると、FETのゲート
   駆動電圧を高くする必要があるかもです。
   オペアンプの+電源が+5Vでは間に合わないかも。

※関連
2021年4月4日:オペアンプとMOS-FETを使った定電流負荷回路
2020年8月27日:オペアンプとMOS FETを使った定電流回路・・・電子負荷回路・・・
2020年3月12日:定電流回路の電流検出抵抗を試す
2020年1月24日:メモ:4-20mA電流ループ用ICとデジタルアイソレータ


※現時点の回路
Cc31

・手持ち部品の関係でロータリーエンコーダはBOURNS
 のを使用。
・2回路入りオペアンプを使ったのも手持ち部品の関係。

※スケッチ zip圧縮
  ダウンロード - cl40ma1.zip

※温度変化の様子
2022年7月6日:デジタルテスター「FLUKE 87IV」の赤外線通信ユニット完成
でFLUKEテスターからのデータ吸い上げができるようになった
ので、定電流回路の温度変化を調べてみました。
使ったのはこの→2017年11月6日:液晶表示器「焼き鈍し」
での保温箱。
この中に定電流回路を置いて通電開始。
「電球」で段ボール箱内を温めます。

結果・・・
Cap074
定電流回路の設定を20.00mA。 (供給電圧は24Vで)
その時のテスターでの読みが20.003mA。
箱内を50℃まで上げると19.983mAに。
20.003mA→0.02mA下がりました。
30℃の温度上昇で電流がざっと0.1%下降。
1℃に直すと「33PPM/℃」。
基準電圧の変動なのか電流検出抵抗RsとかLPFの
分圧抵抗の変動なのか。
もうちょい調査が必要です。

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