技術史

2025年4月26日 (土)

CQ ham radio 5月号に「14年ぶりに改正されたJIS規格」の記事

本屋のある都会(環状線の内側だぁ)に出かけたので
ひさしぶりにCQ ham radio誌を買いました。
  布施に行けばヒバリヤ書店があるんですが、
  ご近所の本屋さんがどんどん廃業してしまい
  本を手に取って買うということがなくなりました。

というのは、「14年ぶりに改正されたJIS規格」ということで
JIS C0617(電気用図記号)の改正とその概要』という
記事が出ているぞっというのをネットで見たからです。
最後にCQ誌を買ったのはいつだろう。
ほんとにひさしぶり。
  奇しくもこの4月がJH3DBOの再免許(5年ごと)。
  1970年開局で55年目です。
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「電気用図記号のJIS規格制定の歴史」という章が興味
深かったです。

しかし・・・こんな解説も。
  IEC60617やJIS C0617の制定が検討
  された
およそ30年前、回路図の機械作図は、
  プロッターにセットしたペン描画で行わ
  れていました。
  ギザギザの抵抗器の図記号は、ペンを動か
  すストロークを減らして描画時間を短縮
  するために矩形にしたといわれています。
  半導体ダイオードは、矢頭をペンで塗り
  つぶす時間を節約するために現在の図形
  になったといわれています。
  またコイルも、クルクルの代わりに半円
  の繰り返しになりました。

ちょっと待てぃ!!!
 おいおい!
  これが現JISの図になった発端だとすれば、
  「どアホっ」の技術史です。

昔々、方眼紙にシャーペン、ドラフタにテンプレートを
使って描いていた手書きの回路図でも、ダイオードや
トランジスタの矢印を塗りつぶすのは、面倒でもなん
でもありませんでしたぜ。
機械化(スピードアップ?!)のために分かりにくくした
なんて、アホです。

トラ技が昔の回路記号を使い続けているのは
ありがたいことです。

※関連
2021年12月27日:JIS、IECの論理回路記号
2022年9月6日:んっ? ボリュームの記号が!
2015年09月28日:「子供の科学」の回路図記号
2015年09月30日:「電子工作」のキホン
2016年04月08日:パワーMOSFETの回路記号:MOSFETの矢印
2015年09月11日:1982年の手書き回路図

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2025年3月10日 (月)

4000シリーズCMOSの先頭、4000Bと4000UB

2025年3月7日:14bitカウンタ74HC4060の発振段はアンバッファ型じゃないのか?
で、バッファ型とアンバッファ型の入出力特性の違いを
見せるサンプルに使った「4000B」。
昔のデータシートを探してみると、

 モトローラは「4000UB」しか作ってなかった。
 東芝やNEC、日立などは「4000B」だけ。
 RCAは「4000UB」「4000B」両方作ってた。

こんなことが分かりました。
まとまった資料は「CQ出版 最新CMOSデバイス規格表 '93」の中。

400_20250310091601 

等価回路が出ていました。
まず、アンバッファ型の4000UB

403_20250310091601 

そしてバッファ型の4000B

402_20250310091701

インバータ部を見ると、アンバッファ型が1段。
バッファ型が3段構成になっているのがわかります。

たまたま東芝のTC4000Bがあったのでバッファ型としての
特性が見れたのです。

 

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2025年1月31日 (金)

NECは3段タイプの発振回路をすすめてる

CMOS ICのノンバッファ(アンバッファ)タイプ、ほんとに
少なくなっちゃいました。
74HCで残っているのはHCU04のインバータだけ。
  シングルゲートでは7SU04が現役

4000番シリーズではかろうじて
インバータが4069UBと4049UB、そして
NANDゲートの4011UBが手に入るようです。

古いファイルやデータブックを整理(いらないのを捨てよう)
していたら1984年のNEC CMOS標準ロジックデータブック
出てきました。
CMOSインバータを使った無安定マルチバイブレータ発振回路が
説明してあります。
要は、
 ・アンバッファタイプを使え
 ・2段タイプより3段タイプがおすすめ
   2段だと発振しないかも
 ・バッファタイプだと異常発振

※pdfをアップしておきますのでご一読を。
  ダウンロード - CMOS発振回路.pdf


HS-CMOSを使うと、異常に遭遇する可能性が高くなります。

2段タイプの発振回路例
G11_20250131155001

3段になっても原理は同じです。
G12_20250131155101
1ゲートでon/offするならシュミット入力NANDゲート
がおすすめですが、安定度はもうひとつ。
G13_20250131155101
確実に異常に遭遇するのが74HC4060を使った場合。
A11_20250201083301  
Cpコンデンサを入れておかないと、カウントをミスして
欲しい周波数のパルスが出てきません。

発振部の出力にグリッチが乗ってしまい、カウントが
好き勝手に進むのです。
  高周波のグリッチをカウントしてしまうので
Cpでそれが避けられます。

でも、MC14060B(4000番CMOSの仲間)だとCp無しでも
正しくカウントしてくれます。
  「昔は大丈夫だったのに」に出会えます。

モトローラのMC14060Bのデータシート。
その発振段の説明はこんな図になっています。

G14
リセット入力で初段ゲートを殺して発振を止めるように
なっているのですが、G1の絵では
  出力をフローティングに
というふうな感じに受け取れます。
G1出力が浮いたらG2入力も浮いてしまい、
  ちょっとヤバいんじゃ
と思ってしまいます。
  ※CMOSの入力は浮かしたらアカン

昔々、これを確かめたことがありました。
G1はゲートで、フローティングにはなりません。

74HC4060では、このように描かれています。
G15
上が東芝ので下がTIの。
MC14060Bでもこれと同じでした。
G2入力は浮きません。

4060、スピードやドライブ能力、電圧下限を許すなら
MC14060Bのほうが安定して使えます。

CR発振をon/offしたいとき、アンバッファ型の
ゲートが無いので、しかたなしにHC00を使います。
  ※4011UBの出番なんですが
例えば、こんなブザー駆動回路です。
G16
Cpを入れないと出力波形にグリッチが出ます。
しかし、Cpを入れると、電源電圧が影響して
発振しないとか異常な周波数で発振とか、
おかしなトラブルがおこるのです。
この回路が出すのは単純な音。
ブザー駆動波形のエッジにグリッチが出ていても
「気にしない」ということで、Cpは入れません。


※関連
2017年9月16日:枯れた技術の伝承が・・・
2017年9月17日:枯れた技術… んっ! 枯れ過ぎた?

リップルカウンターICをアナログで使う:Hanako's Papa
インバータを使った矩形波発振回路:meyon's STUDY
デジタル時計をつくる (7) / 32.768KHz 発振回路:meyon's STUDY



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2024年10月24日 (木)

トラ技11月号 異端の記述:『オペアンプ』

トランジスタ技術2024年11月号 の特集は
カンタンで便利! 高性能OPアンプ革命
で、ちょいと新しいオペアンプが紹介されています。
  新しいオペアンプ、高性能なのはエエんですが、
  最高電源電圧が低いのがイヤ。

その特集で、「用語」にこだわられた著者さん
がおられました!
OPアンプ」というトラ技の方言はイヤということで、
  イントロダクション2
    進化を続けるオペアンプの技術
      細田 隆之
と、この記事でだけ「オペアンプ」という記述が使われています。

T01

T21_20241024155601

  ※「OPアンプ」という用語についてX(twitter)であれこれ
   書かれていました。 (@lyuka_jpさんを検索)

トラ技の目次を検索しますと、

演算増幅器 この5つ

1969,2,リニアICの使い方,演算増幅器を例とした,特集,75,4,木下英美
1969,9,演算増幅器(オペレーション・アンプ)のアマチュア的用法,高級アンプを構成する,特集,95,5,伝田精一
1970,5,ステレオ・プリアンプの製作,高密度実装演算増幅器による,特集,101,11,村井貞夫
1971,4,演算増幅器入門(1),直感的に理解できる,連載,155,11,芦谷正博
1971,5,演算増幅器入門(2),直感的に理解できる,連載,241,10,芦谷正博

オペアンプ この4つ

1970,2,オペアンプをオーディオに活用する,アマチュア的な最も上手な使用法,特集,72,6,田川清春
1970,2,IC化プリアンプの製作,NEC μPC51オペアンプを利用した,特集,111,10,小倉徹
1970,11,オペアンプ使用全段直結オCL純コン・プリ・メインアンプ(カラー),,グラビア,34,2,
1970,11,全段直結OCL純コン・プリ・メインアンプの製作,オペアンプICと2SA627、2SD188を採用,特集,116,8,村井貞夫

OPアンプ 1971年2月号が初出

1971,2,OPアンプ活用専科,,特集名,77,1,
1971,2,OPアンプの基礎,これだけ知っていれば自由自在,特集,78,15,加藤大典
1971,2,OPアンプの規格と応用,TA7502M(汎用型709),特集,93,8,伊藤征夫
1971,2,OPアンプ応用回路選,DCアンプからマルチバイブレータまで,特集,101,20,加藤大典
1971,2,主なOPアンプの規格表,,特集,121,8,編集部
1971,4,OPアンプの応用と使い方のキー・ポイント,バーブラウンOPアンプを中心とした,一般,198,7,熊川良彦
1971,11,OPアンプの使い方,,特集名,83,1,
   :
   :
 以後、「OPアンプ」に。

細田隆之さん、この記事も書かれています。
 ・トランジスタ技術2014年3月号「私の部品箱」
   『小回りが利くマルチユースな
     6ピン・ロジック 74LVC1G97』

ここ↓で紹介しています。
 ・2023年9月11日:マルチファンクション・ゲート 1G57,58,97,98

11月号には私の記事も。
モータ/パルスの周波数変化丸見え!
  F-Vコンバータ回路の製作
  便利ツールで加速・減速や疎密の波形観察!
としてトラ技Jr.コーナに載ってます。

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2024年8月20日 (火)

「水晶板ピエゾ電気計」とは

発端は図書館で借りたこの本。
 ・小林エリカ著「彼女たちの戦争: 嵐の中のささやきよ!」

Kk11_20240820135901
いろんな女性が紹介されています。

この関連でさらに図書館から借りてきたのが、
 ・川島慶子著:「マリー・キュリーの挑戦 ― 科学・ジェンダー・戦争」

Kk12_20240820135901

この本のp.71 『7.ピエール・キュリーの「個性」』
にこんな記述があったのです。

・・・兄のジャックと共同研究をはじめ、
水晶板ピエゾ電気計を開発します。
これはごく微量の電気量の測定を可能にする機械
で、後にピエールがマリーと結婚して共同研究す
る際にも、大変役立ったものです。

そこで、疑問。
水晶板ピエゾ電気計とはどんなものなのか?

googleに聞きますと、
 ・鉱物たちの庭:979.水晶(圧電性)
に記されていました。
しかし形状など詳細は不明。
英語で検索しなくちゃならないかな。
どう聞けば良い??


そういや、この発見も女性でした。
 ・2016年08月30日:『宇宙を測る方法』

この本では、
  コンプトメータ
  アリソメータ
が知らない装置として出てきました。


※KDHさんに倣ってChatGPTに尋ねたらこんな絵が出現。
・ピエール・キュリーの水晶板ピエゾ電気計をイメージした描写
Cap001_20240821122601
  (リサイズしてます)


※Quartz Crystal Electrometer で検索

Curie piezoelectric quartz balance or electrometer
Mastering picocoulombs in the 1890s: The Curies’ quartz–electrometer
Piezoelectricity and piezoelectric quartz

Marie Curie and the miracle machine
  ・https://carnotcycle.wordpress.com/wp-content/uploads/2017/06/mir04.jpg
  ・https://carnotcycle.wordpress.com/wp-content/uploads/2017/06/mir05.jpg

     ↑
ホンマもんの写真とChatGPTの想像図、だいぶと違いました。
単純に信じたらあかんということで。

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2024年7月30日 (火)

古いファイルを整理していたら・・・トラ技のGND記号

昔のカタログなどを整理していたら、こんなトラ技記事の
コピーをファイルに綴じていました。

トランジスタ技術2000年1月号
   (クリックで拡大↓)
A22_20240730110201
トランジスタ技術で使われているグラウンド記号を
「▽」に変えるよっという案内です。
これまでの変遷も解説されています。

「大事な記事だ」っと考えて、コピーを残して
いたのでしょう。 
  本誌そのものは書架にあります


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2024年7月18日 (木)

気になる回答 トラ技1992年4月号での出題

昔のトラ技をパラパラめくりしていたら、
付箋を挟んだページに遭遇。

1992年4月号 p452:小林幹典
 不定期連載
  ロジック回路パズル教室 其ノ三
   脳の暖機運転
   IQのメンテナンス
   知識のリコール
Tt041

記事の内容は、D型フリップ・フロップのD入力が
LあるいはHに固定されてたら論理圧縮して内部ゲート
の数を減らせるぞっというお話。

そこから発展して、
  ↑↓両エッジを検出する方法は?
という出題につながります。

Tt42

※回答例
Tt43

この解説記事、興味深かったんでしょう。
ページに付箋をはさんでいました。
しかし・・・
  次号にも次々号にも回答は無し!

きっとD-FF内部を構成する内部ゲートのつなぎ方の
解説になるかと想像しているのですが、この記事の
答え、今見ても気になります。

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2024年7月17日 (水)

40年前の「HAKKO DASH」

昔のカタログ、「いつかいるかもしれん」と
残していましたが、「こりゃいらんわな」っと
いうのはどんどん処分しています。

そんな中、捨てられないのが「岡本無線」の
総合カタログ。
1984年のと1992年のを残しています。

Ok11

掲載メーカーのマーク一覧。
Ok12

  ※本になっているので、そのものズバリの
   検索ではなく、パラパラめくりが今でも
   役に立ちます。

で、目に入ったのが「白光金属工業」のページ。

先日来、HAKKOダッシュ(15W)の温度を上げたい
とあれこれ試行錯誤していましたが、40年前の
同名ハンダゴテには「15W」品に加えて「20W」
がラインナップされていることが分かりました。

Hd11

15W、20W、25Wと3種類。
25W品はちょっと大きくなる。

Hd2
現行の15Wではちょいとパワー不足。
現行品にも20Wのヒータを入れてもらいたいところです。

  ※このコテ、自宅に置いてあるかも。
   探してみますわ。

2023年8月12日:データシートが見つからない!シャープのSSR「S201DD2」
2021年10月4日:どこの半固定抵抗だろう?
でも、このカタログが役立っています。

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2024年7月 4日 (木)

1mm方眼のフィルム

マンガ(機構的な概略を示す絵ね)を書く必要から、
「方眼紙、方眼紙。 ひさしぶりやん・・・」っと図面棚
を探していたら、こんなのを発掘。

Hh1

プリント基板のレイアウト、「テープ」を貼っていた頃に
使っていた1mm方眼のフィルムが出てきました。
「IZUMIYA IC」っとメーカー名が入ってます。
1980年台の遺物かと。


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2024年3月10日 (日)

発掘! CP/M-2.2用ROMDISK

技術評論社のプロセッサ誌 1988年12月号に掲載してもらった
  CP/M-80用ROMディスクの製作
この元原稿(関連ソースと)が発掘できましたのでアップし
ておきます。

  でも【図】が発掘できてません。
  どこかのファイルの中に埋もれているはずなんですが・・・

CP/M-80の運用はフロッピディスクでした。
両面倍密で1.2Mバイト。
それをちょっとでもお手軽、高速にということで、
安価になってきたダイナミックRAMをつないで
RAMディスクをつなげてました。
  ※とうぜん手作り
そしてこの記事で紹介したのは、常用するプログラム
を「ROM」に入れて、高速に読み出しできるようにという
ROMディスク」です。
エディタやアセンブラなどの開発ツールをROMに入れて
おけば、いちいちフロッピにコピーする手間が無くなり
ます。 起動も一瞬。

この記事に含めていたのが同僚が作った「ICP」。
CP/MのコマンドプロセッサCCPの改良版です。
起動するプログラムの検索順序(RAMディスク、
ROMディスクに対応できるよう)や、ファイル消去
の「ERA」コマンドを拡張した「ERQ」コマンドで
ワイルドカードでの消去を「Y/N」で確認しながら
できるようにしてあります。

ハードの回路図が無いと、真似しては作れませんが
およその想像はしてもらえるかと。
プリセッタブルカウンタを使ってROMディスク、
RAMディスクのアドレスを生成。
そのアドレスデコーダはPALの16L8。
原稿txtの中にPALの式が入っていますが、
これだけでは何?でしょうなぁ。

   ・ダウンロード - romdisk.zip

回路図などが発見できればまた紹介します。

プロセッサ誌の目次(コピーして綴じていたのをスキャン)

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