先日来、こんなプロジェクトが進行。
きっかけは 東大阪市の関西電機工業 さんからのhelp。
製造しているキュービクルの配線をチェックしたい。
配線にトランスが入っていると直流的には導通と同じで、
普通の導通チェッカー(BZM3を買ってもらった)では判別
できないので、なんとかならないか・・・
ホロホロブザーを使っていたが、今はもう手に入らない。
ホロホロブザーはトランスを判断できるんです。
抵抗だけでなくインダクタンスがあると音色に
変化が出ます。
で、検出回路をあれこれと。
・こんなのできたよ:
トランスが入った回路の導通チェッカー。
配線チェッカーと呼ぶ方が良いかも。
今のマイコン型導通チェッカーは、
「電子回路の配線チェック用」でしたが、今回のは
「配電盤の配線チェック」に特化しました。
・検出電流を交流にしました。
トランスを介した配線のように、線路のインピーダンスが
高ければ導通なしと判断します。
配線がダイレクトにつながっているときだけ導通あり
として、ブザーが鳴ります。
コンデンサが入った回路だと導通ありとミスするの
で、直流方式の判定回路も残してあって切り替え
できます。
直流抵抗がほぼゼロの100kVA・6600V:200Vトランスや
6V・1A出力のトランスコイルを介したつながりが判断で
きます。
こんな回路 (クリックで拡大↓)

・電池電圧3Vで1kHz(~5kHz)の方形波を出し、電流検出抵抗
150Ωでの電圧ドロップを増幅・整流して導通を判断します。
短絡で20mAという電流になります。
・大きな制御盤だと、あっちとこっちの配線を見るのに、
接続用のリード線をチェッカーから伸ばさなくてはなりません。
場合によったら数メートル。
その接続用リード線の抵抗を補正するため、検出レベル調整
用の「ボリューム」を設けました。
怪しい接続状態を知らせるための「断続報知」機能も
あって、これも調整できます。
針式テスターのゼロオーム調整のイメージです。
・欠点として・・・保護回路が入っていません。
通電中の回路に触れると、電圧にもよりますが・・・壊れます。
・可動鉄片型交流電流計(CTの先につなぐ5A計)の微少な
インダクタンスでも判別できるよう、出力方形波の周波数を
5kHzまで上げられるようにしました。
当初は1kHzだったのを設定できるように。
・オペアンプを両電源で使っているのは、当初、
同期検波回路でリアクタンスを判別しようとしたから。
でも、回路規模が大きくなってしまい断念。
LCRメータが作れるぞ!に。
単純な増幅整流回路も両電源のほうが楽だし、あれこれ
実験してた残りで、マイナス電源が残りました。
・クリップ短絡で電源オン。
チェックをせず3分放置で自動電源オフという便利な
機能はBZM3を引き継いでいます。
最初は1分でしたが、盤の裏に回り込んでチェックする
端子を探していたら1分では不足だ(怒)っと3分に。
詳細は
・KANSAI DENKI AI & IoT 2024-09-12:配線チェッカー(新ホロホロブザー)
※関連
・電子回路の導通チェックに! マイコン型導通チェッカー組み立てキット
・2012年02月11日:導通チェッカーの検出抵抗値を下げたい
↑トランスの話が出てきます
※参考
配線チェックしようとしている盤には、慣れ親しんだ
電子回路の設計では見たことのない回路記号が出てき
ます。
使う「単位」が違う(桁がぁぁ)。
触ったら死にます。
丸二つに△とYの記号は三相のトランス。
電圧が6600V:420V。 容量が500kVA。
※追記 (09-22)
単相の交流電流を計るならCTは一つ。
トラ技2024年10月号に「加熱完了報知回路」
この時は又裂きした延長コードの片側にCTを入れて
フライヤの電流を見ました。
交流ですので極性はなし。
CTの端子、電流計の端子を入れ換えても値は同じ。
三相交流だとこんなつなぎ。
RST各相にCTを入れて、それぞれに電流計を
つないでいます。
でも、これだともったいない。
CT二つで、各相の電流を計る手法がこれ。
120°位相の三相交流だからできる芸当。
この時は位相が絡むので、CTの二次巻線の出口は
ちゃんと向きを確認してつながなくてはなりません。
実際の配線図ではこんなふうに描かれています。
電流計を一つにして「AS:交流電流計用切替スイッチ」で
RST相のうちの一つだけを選び、読み取ります。
電圧計での相選択は2極を普通に切り替えるので分かり
やすいのですが、CTの出力を切り替える場合、
オープンにしたら高電圧が出るので
オープンにしちゃダメ。
という制限があります。
どんなふうに切り替えるのか・・・
中村電機製作所 交流電流計用切替スイッチ SP-A
この説明書がわかりやすいでしょうか。
巧妙な接点が使われています。
簡単に描き直してみました。
左方向へ回すと
OFF R相 S相 T相 OFF
と切り替えが進みます。
OFFの位置では二つのCT出力を両方とも短絡するのが
分かります。
R相の読み取りではT相側を短絡。
T相の読み取りではR相側を短絡。
読み取らない方のCTは短絡状態に
なるよう、ほんと、うまいこと切り替え。
S相はR相とT相をつないで、そこからの流れ
(三相のベクトルだぁ)を読み取ります。
さて、これがCTの先につなぐ5A可動鉄片型交流電流計。
こんな記号。
そして、使うCTの定格も記されています。
CTの一次側に500A流れたら電流計に5A流れて、
メータ指針が500のところにきます。
目盛板を外すと、こんなコイルと指針機構が見えます。
直流抵抗ざっと0.03Ω。
インダクタンスがおよそ16μH。 (私とこの計器で)
このメータを介しての「つなぎを判断できれば」という
要望だったわけです。
直流では無理。
5kHzだと0.5Ωくらいのインピーダンスになり、なんとか
判別できるかというところまで追い込めました。
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