« 出窓:鯉のぼりを振る | トップページ | 「漆谷正義」さんとむちゃ接近遭遇していた »

2023年5月 6日 (土)

オペアンプ NJU7062の駆動能力を見る

2023年4月26日:出窓:鯉のぼりを振れたらというリクエスト
ここでの、小型サーボを使っての駆動実験は失敗。
この波形発生(sin波)に使ったのが
   日清紡マイクロデバイスのNJU7062
秋月扱いで80円。
3~16V電源で低オフセットだし、あれこれ工作に使えるか
と思ったのですが、思わぬ落とし穴が報告されています。
  ・オペアンプNJU7062を使うのは難しい:釣り師のつれづれ日記

なにがアウトなのか・・・出力電流が取れないのです。
  ・アンプを構成したとき、帰還抵抗の値を小さく
   できない。
  ・負荷抵抗が小さいと欲しい出力電圧が出てこない。
と、出力の駆動能力が弱いと、何かと制限が出てきます。

それを確かめてみました。 検証に使った回路は
  ・単電源オペアンプの入出力特性を調べる
    ※この時は「無負荷」でしか調べていません。

そこで、今回は
  LMC6482  ・・・ 秋月での扱い停止
  MCP6022  ・・・ 低オフセット品
  そしてNJU7062
この3つのオペアンプの出力に
 ・GND側に負荷抵抗を入れる。
 ・電源(+5V)側に負荷抵抗を入れる。(プルアップ)
と、負荷抵抗をつないだ時の挙動を調べてみました。

まずはLMC6482MCP6022
   (クリックで拡大↓)
P1_20230506105501
両方とも安心して使えるレベルです。
  ※オフセット電圧が小さいので、黄色線:入力と
   緑色線:出力がほとんど重なっています。

そしてNJU7062
P2_20230506105601

GND側に入れた負荷抵抗、抵抗値が小さくなると
出力レベルがずずずずっと下がってしまい、
  「こりゃあかんわ
状態に。
  33kΩはなんとか。
  10kΩになるともうあかん。
  ※抵抗をプルアップするように入れた時、
   つまりLに引っ張るほうはまだましですが。

NJU7062を使う時は、この特性に注意が必要です。


※追記
11倍の非反転アンプを組んで、帰還抵抗の値を
変えて出力の様子を比較してみました。
Z1
A1は10k・100kで。 A2は1k・10kで11倍増幅。
試したのはLMC6482LM358、そしてNJU7062

こんな結果です。
Amp_11a

LMC6482は頑張ってフルスイング。
LM358は、1k・10kでも10k・100kでも
およそ3.7Vで頭打ちに。
NJU7062は1k・10kだと、2.2Vくらいで
飽和しちゃいます。


※さらに追記
  ・トランジスタ技術2023年6月号
10日発売ですが、年間購読している人には
ゴールデンウィーク中に届いているかと。

今号の特集「作る!わかる!USB Type-C&電源
この第2章に
 「どっち向きもOK!USB Type-C電圧・電流モニタ」
という製作記事があります。
この中でNJU7062にが使われていました。

ハイサイド側に入れた電流検出抵抗(0.1Ω)の
電圧ドロップをNJU7062を使った差動アンプ
で10倍増幅して1Aで1Vを得ようという目論見です。

こんな回路。
Za2

差動アンプを構成する4本の抵抗は「1k・10k」の
組み合わせです。
  「ちょっと重いんじゃないか?」
と、「10k・100k」のと比較してみました。

オペアンプの電源は非反転入力側電圧と同じ
になるので、反転入力側の電圧をちょっとだけ
下降させます。

Za1  
電流が流れるか流れないかの、出力「0V」付近
が問題になるので拡大して観察します。

Za3

1k・10kの抵抗だと30mVほどの残留電圧が見えます。
10k・100kだとそれが2mVほどに。
30mVということは測定電流値は約30mA。
基準電圧5Vで10bit分解能のArduino UNOでの
測定ということですので、30mVは6/1024。
0.6%ほどの不感帯が生じることになります。


  ※このトラ技には私の記事も。
   トラ技Jr.コーナ
    回路の通電確認に便利な0.1mA精度
   USB接続電流計の製作
    ※タイトルにUSBという文字が
     入っちゃいましたが、USBとは
     直接の関係はありません。

 

|

« 出窓:鯉のぼりを振る | トップページ | 「漆谷正義」さんとむちゃ接近遭遇していた »

電子部品」カテゴリの記事

トランジスタ技術」カテゴリの記事

コメント

出力電流が0.1mA以下なんですね。電池駆動の回路ならこれで良いのでしょうが、いろんなことに使うアマチュアには向いてない感じですね。

投稿: ラジオペンチ | 2023年5月 7日 (日) 09時11分

性能のエエOP-AMPはそれなりに高価っということで・・・

MCP6022、電源電圧上限がもうちょい高けりゃエエんですが・・・

LMC6482が性能的にも価格的にもちょうどエエあんばいのC-MOSオペアンプだったんですが・・・。

「・・・」(もうちょいどないか)という記述が多くなってしまいます。

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2023年5月 7日 (日) 21時05分

オペアンプ+抵抗で差動アンプをこしらえるときは、抵抗の精度に注意。
  ・・・ゲインしだいになるんですが
コモンモード電圧を上下させたときに出力が変動しちゃいます。
5%はもってのほか
1%でも×10ではキツい。
0.1%品でもどないかしたいと思う。
最終手段はpotを入れて微調でしょうなぁ。

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2023年5月10日 (水) 11時12分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 出窓:鯉のぼりを振る | トップページ | 「漆谷正義」さんとむちゃ接近遭遇していた »