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2023年1月31日 (火)

LEDの絶対最大定格:逆電圧(Vr)への反論

電子部品それぞれに設けられている「絶対最大定格」。
 ・なにがなんでも越えちゃダメ。
 ・越えたらつぶれるかも。
 ・越えるような設計、誰がした。
という解釈かと。

で、この絶対最大定格について(LEDに限って)
 ・重箱の隅モード
 ・いまさら
なんですが、どう考えたら良いか・・・
  皆さんのご意見を!

LEDのスペックに記された「絶対最大定格」の中に
「逆電圧」が出てきます。
この逆電圧、たいていが「5V」。
   ※単素子の場合。
   ※中には4Vや6Vというのもあります。
   ※電気的特性の項目に、逆電圧4Vなら
    最大10μAの逆電流が流れるとかが記さ
    れています。

LEDに逆電圧が加わる回路といや7seg LEDの
ダイナミックスキャン。

簡単に2桁の7seg LEDを図示します。
カソードコモンで駆動するように記しました。

71_20230131124001
右桁を駆動して、AセグはオフでBセグをオンした
ところがこれ。

72_20230131124101
この駆動方法、アノードとカソードともCMOSレベルで
ドライブすると、消えているD1逆接になります。
5Vで動く回路なら、5Vが逆に加わって、絶対最大定格の
逆電圧に達します。
駆動回路が5Vよりちょい上の電圧なら絶対最大定格を
越えちゃうわけです。

回路的に逆電圧を避けようとするのなら、
  ・アノード側あるいはカソード側、それとも
   両方とも、オープンコレクタ(ドレイン)
   の素子で駆動。
という方法があります。
  ※5Vより大きい電圧じゃないとLEDが光らない
   なんて時はこの方法です。(2直,3直の場合など)

そして、マイコンのポートで直接駆動するのなら、
  ・駆動しないところを「入力ポート」にして
   逆電圧を避ける。
こんな方法もあります。

しかし、CMOS出力ポートでH/L駆動して逆電圧を加えても
壊れないというのも経験しています。

この「大丈夫だ」という理屈の説明をどうすれば
なんですが・・・
  ・電流制限抵抗があるので、逆電圧を超えても
   最大電流、最大電力を越えないから大丈夫。
と言えるかなぁ、と思います。

しかし、「劣化はしないのか?」となると、スペックの
記述からは読み取れません。

ネットを探すとトランジスタの劣化についてこんなのが
見つかります。
・トランジスタの“落とし穴”はブレークダウンにあり:EDN japan

  ※電流制限されていない状態でB-E間に
   逆電圧が加わったのが原因でしょうけれど、
   「劣化」と呼んでよいのか・・
  ※制御されたブレークダウン(電圧は超えるけど
   電流、電力はOKの範囲)ならどうなる?

いかがでしょう。


※追記
2022年12月20日:ガレージのLED表示デジタル時計がダウン
2012年08月03日:16セグメントLEDを使った時計:回路図
  ※カソード、アノードともTr(オープンコレクタ)で駆動

2022年12月21日:7セグメントLED駆動用IC「TM1637」
  ※このICは両方ともオープンドレイン
カソードコモン7セグメント用LEDドライバー MAX7219
  ※CMOSで駆動とは記されていないが、
   コモンはオフ時にV+、セグメントはオフ時に
   GNDになると記されてる。

以下、逆電圧になる回路。
2018年5月31日:電波チェッカ用レベル表示回路案
2018年9月27日:電波チェッカ用12LEDレベル表示回路
2022年12月14日:Arduino UNOを使ったUSB電流計 4桁表示も
2022年11月29日:Arduino UNO(のチップ)を使ったUSB電流計

逆電圧といっても、電流制限抵抗が入っている
おかげで、もろに電源電圧じゃなく反対側の
Vf電圧が加わるようになる場合もあります。

逆電圧にしても、最大電流、最大電力を越えなければ、
破壊には至りません。
しかし「劣化はどうや?」っと言われたら・・・
  わかりません。

ご意見をお待ちしています。



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コメント

コモン側通常オープンCで受けるので問題無かったけど
最近のLEDは微小電流が主流。そう言う事もあるのでしょうか?
ブランク時は電圧掛かりっぱなので問題有りそうだけど、アバランシェさせずにすめば(最大電力未満なら)壊れないかなあ?

投稿: LOWGISHI | 2023年1月31日 (火) 15時28分

こんばんわ.いつも楽しく拝読させていただいております.
 LEDの絶対最大定格:逆電圧(Vr)について,中華製照光スイッチがきっかけで悩んでおりました.

>この「大丈夫だ」という理屈の説明をどうすれば
 データシートでは「Vr=5V」と書かれていても,JacquesBBBさんの実測(下記)によるとVrの実力値は10~113Vまで様々だったようです.つまり「実力値は最大定格より十分大きいから大丈夫」というのはいかがでしょうか?
https://www.eevblog.com/forum/beginners/what-is-the-reverse-breakdown-voltage-of-a-red-or-green-5-mm-led/

 Amazonで売られているKCD-3という中華照光スイッチ(AC220V用)の内蔵LEDは220kΩと直列になっているだけで,対向並列ダイオードも直列ダイオードも入っていませんが,永年にわたり動作しているようです.「ようです」というのは,私は使い始めたばかりで実績がわからないのです.
 KCD-3に内蔵されたφ3砲弾型オレンジ色LEDを実測すると,Vf=1.85V@If=1mA,Vr(BR)=43Vでした.
http://www.cb750f.org/private/KCD-3-AC96Vrms.gif

 私はこれを直列100kΩに改造してAC100Vとして使ってまして,ACのピークでは1.4mAの順方向電流Ifと1mAほどのブレークダウン電流Ir(BR)が流れています.各社LEDのデータシートだとVr(max)はIrが10μAとか,50μAとかで記されていますが,Ir=1mA(1000μA)でも永久的な破壊につながらないようですよ.

>しかし、「劣化はしないのか?」となると、スペックの記述からは読み取れません。
 LEDの劣化については気になります.照光スイッチのように小電流(If=1mAやIr=1mA)ならば輝度低下はなさそうですが,しっくりきません.

投稿: mry | 2023年2月17日 (金) 22時49分

LEDのブレークダウン電圧を実測した経験、ありません。
最大定格のVrは余裕を見過ぎということなのでしょうけど、温度が変わればどうなる?も気になります。

件の照光スイッチ、順方向の時の電力に比べて、逆方向だと電流は減っても電圧が上がる分、電力が増えちゃいます。
それが劣化を加速するかどうかという所でしょうか。

過去、あれこれLEDの劣化実験をしてきましたが、何せ時間(日数)がかかります。
http://act-ele.c.ooco.jp/trouble/ledrekka/LEDREKKA11.htm

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2023年2月18日 (土) 09時09分

LEDの逆耐圧が低いのは、LEDの発光する層の厚みがnmオーダーしかなく、逆方向電圧を印加すると高電界になって絶縁破壊を起こすからと私は理解していました。
真空管を使った工作をしていたときは安全係数をざっくり1kV/mmで見積もっていましたが、デバイスの中ではざっくり1MV/mmで、結果として数nmの厚みだと数Vになります。
LEDがシリコンを使ったICに比べて静電気に対して弱いということも根本は同じ理由ですね。LEDの発光層に相当するのはICではエピタキシャル層ですが、厚みは1桁以上ICの方が厚いのでLEDよりは静電気に対して強くなります。

投稿: 悪食釣り師 | 2023年5月 6日 (土) 18時53分

問題なのは逆電圧印加による劣化(輝度低下など特性の悪化)の具合。
これ、「どうなんや?!」が不明。
自分で確かめるしかないようなんですが「絶対最大定格縛り」を考えると「大丈夫」だとしても、声を出せません。

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2023年5月 7日 (日) 21時45分

デジタルのようにバイバリーの世界ではないので難しい問題ですね。最初は大丈夫でも何回も逆電圧のストレスが加わることで結晶欠陥が徐々に増えていき、そのうち突然どどっと土砂崩れが起きるように昇天する可能性があります。
私の中では真空管のリニアアンプでエアバリコンを使ったとき普段は大丈夫だけど梅雨の時期に埃を介してドカンとスパークを起こすのに近いことです。
真空管と違ってLEDの場合は故障モードがショートの場合でもパッケージ内のボンディングワイヤーが溶けて切れてくれるので、趣味で使う範囲なら被害は少ないかと思います。

投稿: 悪食釣り師 | 2023年5月 7日 (日) 22時18分

AC100Vで点灯するLEDを以下の2通りで作って10年ほど常夜灯代わりに使っています(継続中)。

A.LEDを互い違いに繋ぎ、交流を加えても逆電圧がVFまでに収まる(はず)を40単位直列にしてAC100Vに接続
B.AC100Vをブリッジダイオードを通して脈流にしてから40個直列のLEDに接続

Bは故障せずに24時間365日10年くらい動いてる気がします。それに対してAは何回かLEDが短絡故障してヒューズが飛んでいます。ブリッジダイオードぶんの差という可能性もすてきれませんが、逆電圧による長期信頼性の差もありそうな感じがします。
とはいえ、最初の故障まで50Hzを24時間365日×1年半とかだったはずなので、逆電圧を加えた回数で考えれば、普通の使い方では問題にならない気もします。

投稿: UTiCd | 2023年5月 9日 (火) 15時20分

LEDの劣化(故障)、LEDそのものの性能なんかなぁっという気がします。
http://act-ele.c.ooco.jp/trouble/ledrekka/LEDREKKA11.htm

逆耐圧越えでブレークダウンしたときでも、電流制限がかかり電力的にオーバーしなければ生き残れるのかと。

1年半、点けっぱなしでもほとんど輝度変化の無かったダイソーのLED電球でしたが、点けっぱなしをやめたら3年経過でアウトに。
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2022/12/post-390572.html
これの場合、電源周りがアウトになったんじゃなく、LEDそのものが切れてました。
ただ、電源がスカタンして、オン/オフで瞬間的な突発電流を流していたっという可能性はあるかなと思います。

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2023年5月10日 (水) 08時39分

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