サーミスタ103JTで計った温度をアナログ出力
失敗談、2022年9月28日:回路設計はデータシートの熟読から。 スペックをちゃんと調べろ!
この発端の製作物です。
「温度→電圧」変換はLM35やTMP35あたりのセンサーが
便利なんですが、ブツに接触させて温度を測るときにちょいと
問題があるんです。
・形状のせいか応答が遅い。(TO-92パッケージ)
・足から熱が逃げるのか、低い目の温度が出る。
※型番、LM35は、昔はナショセミ。今はTIに。
そしてTMP35はアナログ・デバイセズに。
ややこしいぞ。
応答が早くて間違いなくブツに接触できる温度センサーという
ことで、「セミテックのサーミスタ103JT」を使って、
・センサーの抵抗値から温度を算出。
・温度をD/A出力。
という方法で、アナログ値を得るようにしました。
※単純なことをするのに、むちゃたいそうな回路。
ATtiny85を選んだんがそもそも失敗。
でも、作りかけたんで、完成形に仕上げてみました。
測定温度範囲は0~80℃。
10bit分解能のA/Dで温度を得てますんで、分解能は
ざっと0.1℃。
これを0.0V~4.0Vの電圧に変換します。
1℃あたり0.05Vのスケールです。
AVR studioでプログラムを組んでます。
フォルダーごと圧縮。
・ダウンロード - thm_85_da1.zip
10bitのA/D値から2kバイトのテーブルで温度に変換
という手抜き手法。
複雑な算術関数は使っていません。
回路を組み込んだプラケースはダイソーの「ミニケース5個組」。
この回路の電源は、
Arduino-UNO 12bit×4chアナログ SDカードデータロガー完成形
から供給します。
さて、温度センサーIC:LM35(TMP35)とサーミスタ103JTの
違い、どんなもんかと調べますと・・・
15Ωのホーロー抵抗の側面にセンサーをくっつけて、
抵抗を通電して発熱させます。
その時の温度変化を電圧として記録しました。
まずは、センサーを軽く貼り付けした状態から。
すると・・・
センサーICとサーミスタの出力に差が生じます。
時間が経過してもそれが埋まりません。
テープでぐるぐる巻きにして、温度が逃げないように
したつもりでも・・・
途中で段ボール箱をかぶせましたが、時間が経っても
2℃くらいの差が埋まりません。
そこで、2017年11月6日:液晶表示器「焼き鈍し」
で使った「保温箱」で試してみました。
この2種以外にも、センサーICとサーミスタを加えます。
2と4が今回のセンサー。
1はセンサーICの外周を熱収縮チューブで覆っています。
4は同じ103JTですが、先端近くまで熱収縮チューブが来ています。
センサー部分はむき出しのまま、電線のところでマスキングテープを
巻いてまとめました。
65℃で保温された箱の中に投入しますと、数分で4つとも温度が
安定、収束します。
※電線部分、およそ20cmは保温箱の中に入っていて、
先端のセンサー部と同じ温度になっているかと。
また、4つのセンサーを箱に入れたまま、箱を室温
から加熱した場合も20分ほどで65℃に到達し、
その後の温度差はそれほど感じません。
赤:保温箱温度制御センサー
緑:サーミスタ 4
青:サーミスタ 3
マゼンタ:センサIC 2
シアン: センサIC 1
発熱体に直接接触させて温度を測る場合と、周囲の空気ごと
温度を測るということで差が生じるのでしょう。
このあたりをもうちょい勉強しようとすれば、何を
調べれば良いでしょうか?
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コメント
以下は、素人考えです。
【現状】TMP35+ホーロー抵抗では、低めの値になる。
【原因の考察】接触面は加熱されても他の部分で放熱しているため。
【解決方法】TMP35の黒い樹脂部分「等」を金属で覆ってみる。(箔を巻き付ける、パイプに入れる等)
※取りあえず、樹脂部分「のみ」を覆ってみる。脚からの放熱が大きいのかなぁ?
投稿: まいくろ@札幌 | 2022年10月 3日 (月) 14時22分
LM35あるいはTMP35をどうにかしたい・・・というのではありません。
応答性と接触温度の安定性はサーミスタ103JTにまかそうということでの目論見です。
過去、ニッ水電池を急速充電した時の温度変化観察にLM35,TMP35を使ったことがあります。
それが、「なんだかな~」だったのです。
保温箱での実験から、足と配線からの放熱かと推測できるんですが、なにかそれらを解説した文献があればなぁっと思った次第。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2022年10月 3日 (月) 15時15分
主旨理解しました。
TMP35のデータシートをダウンロードしたところ、
------以下引用
実装時の注意事項
(略)
特にT-3パッケージを使用するときは、デバイスに対してピンと配線がヒート・パイプとして機能するため、(略)注意が必要です。
------引用終了
記されていました。しかも、エポキシの使用を推奨していました。
修行不足でした、すみません。
投稿: まいくろ@札幌 | 2022年10月 3日 (月) 17時37分
ICの足やリード線が温度測定にどう影響するのか、グラフや式を使った解説があると勉強になるんですが・・・
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2022年10月 3日 (月) 20時59分
ホーローの熱伝導率ってどんなものなんでしょうか(ガラスと同じ?)。
ガラスやプラスチックのように熱伝導率の低いものの表面温度測定の場合、センサからの放熱による接触部の温度低下が(周りからの熱供給が少ないので)大きいので毎度悩まされます。(放射温度計とかサーモカメラは輻射率が面倒だし)
普通はなるべく小さい熱電対を使い、配線をできるだけ長く測定物に密着させて測定してました。
熱伝導の良い物体の測定(温度一定のアルミの塊とか)でも、TMP35のような大きなセンサの測温部は 樹脂の真ん中(の温度)なので この部分が測定物と同じ温度となるように 測定物に埋め込むとか、接触面以外を断熱するとかの工夫が必要です。(影響は少し小さいかもしれませんがサーミスタでも同じですね)
>グラフや式を使った解説
これは ジャンクション温度とヒートシンクの計算を応用すればよいのでは? と思いますが見たことはありません。
以上 的外れかもしれませんが。
投稿: Sam.Y | 2022年10月 5日 (水) 18時23分
温度を測っているあれこれ・・・
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投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2022年10月 5日 (水) 21時33分