テスター精度確認用DC500V電源制御回路案
DC500Vを作る元となる高電圧発生回路は置いて
おいて、制御系を考えてみます。
まず、普通の可変電圧電源回路。
オペアンプの電源と主電源の電圧が同じ。
オペアンプの出力にNPNトランジスタをくっつけて
電流を増やします。
最大出力電圧はオペアンプのHレベル出力電圧に
依存します。
だから、LM358などの出力電圧が電源電圧まで
上がらないものは不適格。
R-to-R入出力のものを選びましょう。
「CVCC」電源ならこんな構成でしょうか。
NPN Trのベース電流をR3で供給。
それをオペアンプで引っ張ることで電流を減らして
出力電圧を下げるという仕組みです。
さて、オペアンプ電源と主電源(高圧側)を分離したいとき
はどうすれば・・・
オーディオ・パワーアンプだと「正負」の駆動を考えなければ
なりませんが、正電圧電源だとプラス側の電圧可変を考えればOK。
※短絡保護や発振対策など、あれこれ
ありますよ。
ブースターにNPN Trを使うとすると、こんな感じでしょう。
オペアンプの出力を、直接、高電圧の回路につなぐ
ことはできません。
なにかの緩衝部材が必要です。
この場合はTR1。
オペアンプをオープンコレクタにした、という
感じでしょうか。
エミッタ接地のTR1が途中に入りますんで、
オペアンプ入力の正負がひっくり返ります。
また、出力電圧を下げると、R3の両端に高電圧が
かかります。
この回路の心配点が、TR1がオフしたら、TR2は
フル電圧を出そうとしちゃうこと。
電源投入時や電源断時の挙動を考えなければ
なりません。
この出力段NPN回路では、前段のTR1をこんなつなぎに
する回路も見かけます。
エミッタ接地より、ゲインが下がるので安定する
かも。
もう一つが出力段をPNP Trにする方法。
※ダーリントン接続ではありません
この場合、オペアンプがオフしたらTR1もTR2もオフ。
抵抗駆動の出力NPN構成より心配は減ります。
しかし、コレクタ接地のTrが2段となってゲインが
上がります。 ・・・発振するかもです。
その対策(ゲインを下げる)にこんな手法が本に載ってます。
TR2のコレクタ電圧が上がったら、TR1のエミッタ電圧を
上げてTR2のベース電流を減らすことでゲインが下がります。
どのくらい効かすかはR3とR4の比率。
出力段NPNの場合もこんな方法が。
出力端子電圧が上がったら、TR1のベース電流を
増やしてTR1のコレクタ電流も増やします。
するとTR2のベース電流が減って出力電圧が
下がるという仕掛け。
・玉村俊雄著 「OPアンプIC活用ノウハウ」
では、この負帰還を「マイナーループ」と
呼んでいます。
※持っているの、1983年の初版でした。
この本↑とこの本↓
稲葉保著 精選アナログ実用回路集
は、アナログ回路の設計製作では手放せません。
※最大出力電圧DC500Vくらいで、テスターの精度確認に
使えるような電源回路。
なにか良いのがあれば、ご教示ください。
出力電流は、テスターを駆動できればOK。
2kΩ/Vあたりのメータ感度だと0.5mA。
2mAもあればOKかと。
それでも、500Vなら1Wの電力に。
出力電圧を読むのではなく、指令電圧に対して
追従して欲しい。
10Vステップくらい。
ロータリーエンコーダをぐるぐる回して
出力電圧を設定するという操作。
高耐圧デバイス、バイポーラ・トランジスタより
MOS FETから選ぶほうが良いかもしれません。
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コメント
500Vともなるといろいろ大変なんですね。
アドバイスなんてできないし、高電圧でもありませんが、うちではTL431を選別した物を基準電圧として使ってます。
http://radiopench.blog96.fc2.com/blog-entry-150.html
この回路の発生電圧を分圧して1Vを作ると、抵抗の温度係数がモロに見えちゃって3-4桁目あたりが安定しなかった思い出があります。同じシリーズの抵抗使って分圧しても抵抗値によって温度係数がかなり違ったりするので要注意です。
釈迦に説法な感じですが、気になったのでコメントしておきます。
投稿: | 2022年10月26日 (水) 20時59分
真空管の回路では400-500Vは日常的な値ですが、最近はもっぱらMOS-FETに頼っています。発振に注意すればBiploarより使いやすい気がします。
投稿: CPU.BACH | 2022年10月26日 (水) 23時59分
こちらでの「神様(基準電圧など)」のお話しはこのあたりかと。
2019年4月5日:10mA定電流回路をちょい改造
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-21e7.html
・基準電圧ICをシャント型のLM385BZ-1.2を「REF3312」に交換。
温度安定性を改善 150PPM/℃ → 30PPM/℃(max)
そして、先日の「AD2700L」。
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2022/10/post-5b014d.html
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-0b9209.html
10V基準電圧IC 誤差±2.5mV 温度変化3PPM/℃
手元にある高精度品(仕事の残り)が、
AD680 10PPM/℃(typ)
AD780 7PPM/℃ 温度センサー出力付き
「なんたら431系」とはちと違う温度安定性です。
※初期電圧の偏差は調整でカバーできます。
温度変化や長期安定性はデバイスの能力。
「エエもんは高い」です。
こちらは「神様抵抗」
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-8f0e67.html
温度特性で「2.5PPM/℃」 誤差「0.05%」
初出は「コレな~んだ?」で
http://act-ele.c.ooco.jp/blogroot/igarage/article/631.html
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2022年10月27日 (木) 09時04分
サーミスタ温度計で使っている0.1%の神様抵抗、秋月で5個100円で買えます。
https://akizukidenshi.com/catalog/g/gR-11802/
0.01%のもう一つ上位の神様だと1個300円ほど。
https://www.digikey.jp/ja/products/detail/stackpole-electronics-inc/RNCF1206TKY10K0/2269704
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2022年10月27日 (木) 09時12分