可変抵抗器の「陽極酸化」
「東コス」に「陽極酸化」について質問してみました。
頂戴したお答えをかいつまんで。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・陽極酸化は、電位差により抵抗体上の水分が
2H2とO2に分解され、O2がカーボン抵抗(C)と
結合しCO2となり、抵抗膜が消滅する現象。
・抵抗膜が無くなるので、抵抗値の上昇または
オープンとなる。
・過去、200kΩ品で使用年数9年で陽極酸化
による不具合が発生したという事例がある。
※追記:ただし使用電流値は1.0mA。
想定10mAとは10倍の差があり、
寿命への影響は結構大きい可能性がある。
・高抵抗なほど酸化が起こりやすくなる。
・1kΩ品だとこれ以上の年数という事になるが、
使用環境の影響を大きく受けるので確定は
できない。
・影響を受ける環境項目
(1)高温高湿 (2)有害ガス環境下
(3)樹脂で封入 (4)電流値が多い
・抵抗成分が消失してしまうため、接点復活材な
どでの回復は不可能。
・サーメット(金属皮膜)による酸化はゼロとは言い
切れないが、金属皮膜タイプの陽極酸化による
不具合事例はない。
・また、巻線形可変抵抗器の陽極酸化による
不具合事例もない。
・対策は、サーメット(金属皮膜)タイプの製品か
巻線形可変抵抗器タイプの製品を使用すること。
・ただし、使用条件のもとでの十分な評価が必須。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
※後からの情報により、一部追記。
つまり、「炭素」が無ければ「陽極酸化」という現象は
関係ない、心配しなくて良いということのようです。
※ラジオペンチさんとこへのリンク(日付順で)
▲1、▲2が陽極酸化の話題
2021-08-25:おもちゃ病院用のDC安定化電源の製作
2021-09-13:LM317の回路をあれこれ検討、ガリオーム対策と最小負荷電流
2021-09-17:LM317で電圧可変電源を作る時のガリオーム対策の決定版 ▲1
2021-09-22:可変抵抗の陽極酸化不良対策を LM317の回路を使って検討 ▲2
※トラ技で「陽極酸化」の解説を発見
トランジスタ技術1993年4月号p349
連載:よくわかる電子部品活用講座[第4回]
サーメット系抵抗器,可変抵抗器,特殊抵抗器,
著者:薊 利明/竹田俊夫
p356にちらりと陽極酸化現象という言葉が
出ています。
トラ技の目次データから「抵抗」の記事を
ピックアップして、実際の本を探索。
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コメント
陽極酸化の実験装置をでっちあげるとしたらどんなのになるでしょね。
・湿った環境(箱の中)にボリュームを置いて通電。
・スライダーの電圧は陽極酸化するマイナスに。
・スライダーに電流を流す。
・加熱する方が加速するだろ。
・ボリューム軸は回す必要があるか?
・劣化の測定はボリューム両端で計った抵抗値。
抵抗膜が薄くなったら抵抗変化。
・スライダーの接触状態をチェック。
これ、どうしたらいい?
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2021年9月22日 (水) 21時33分
有機物をクリーニングするのに、酸素プラズマやUVオゾンを使ったアッシング(灰化)という方法があるんですが、それと同じことが微小部分なら常温常圧で電流流すだけで起きちゃうってことなんでしょうね。くわばらくわばらです。
加速試験、面白そうですね。
ガラス基板の上に抵抗膜付けてそこでテストすれば、裏から光を当てれば穴が開いたらすぐに判るので感度は良さそうです。でも抵抗値を計った方が定量的な評価になりますよね。それに実際の形状で調べるた方が良いですし。
投稿: ラジオペンチ | 2021年9月23日 (木) 09時17分
回路の調整用に使っている小型の「半固定抵抗」、よく使うのは東コス「GF063」。
抵抗体は「サーメット」。
https://www.tocos-j.co.jp/jp/catalog/list/?category_id=4
これだと陽極酸化の心配は無用。
これ、いつのまにやら「300 3k 30k~」が無くなって「1 2 5」ステップになっていました。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2021年9月23日 (木) 10時27分
東コスの話の200kΩ,1mAだと電圧が200Vになるので、電界強度が問題なのかな?と思ったのですが、私の記事に頂いたコメントでは 1kΩ, 0.9mAで問題発生しているのでやはり電流が問題なのかなと思いました。
とにかく抵抗の陽極酸化現象は要注意ですね。トラ技の春のフレッシュマン向けの記事の部品の使い方の項に入れて欲しいです。(私の記事見にもいつか書いておこう)
投稿: ラジオペンチ | 2021年9月23日 (木) 17時19分
200kΩ・1mAだと200Vですが、スライダーの位置で抵抗値が変わるので両端電圧も変わってきます。
不具合が生じた時の回転角(抵抗値)は示してもらっていませんので。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2021年9月23日 (木) 19時24分
『陽極酸化を見てみよう!』プロジェクト、やはり言い出しっぺがしなくちゃなりませんよね。
・メカ細工は無し。回転軸は固定で。
・ヒーターも面倒なんで無し。
・初期値10mAからどれだけ電流が変化するかを
見て、抵抗値の変化とする。
抵抗値の増大に伴い、電流が減る。
・12bit A/Dだと10mA÷4096で1bit 2.4uA。
こんなもんか。
12bit 4chのA/Dはある。
あんまし分解能を上げても抵抗の
温度変化を見てしまうような気が。
あるいはArduino内蔵の10bit A/Dでも
変化は記録できるか?
・1日1回くらいでメモリー。
・1年~2年あるいはもっとを覚悟。
外付けEEPROMで
・スライダーの+/-、逆にしたものも見たいか。
違う抵抗値のも見たいか。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2021年9月24日 (金) 10時24分
ダイソーの400円LED電球の劣化記録で1年半かけてます。
http://act-ele.c.ooco.jp/trouble/ledrekka/LEDREKKA11.htm
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2021年9月24日 (金) 10時29分
こういうのお手の物ですね。
居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) さんが評価を始めれば、この問題に対する世の中の認知度も上がるでしょうね。
投稿: ラジオペンチ | 2021年9月24日 (金) 17時51分
・可変抵抗器の「陽極酸化」実験回路(案)
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2021/10/post-4466b2.html
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2021年10月 1日 (金) 11時16分