ゲルマTrラジオの修理 原因はIFTだった
「音がむちゃ小さい」という症状。
調べると、AF AMPはちゃんと動いていて、その前の
検波段での信号レベルが小さすぎるのが判明。
回路の頭(信号入り口)から調べると、周波数変換はちゃんと
働いていて、455kHzになった中波の放送電波が1st IF
増幅Trのベースに入ってます。
ところがその出力レベルが小さい。
2nd IFは増幅していて、大きくなった出力を出してます。
こうなると悪いのはトランジスタだと思うでしょ。
しかし、トランジスタにはちゃんとバイアスがかかって
いて(抵抗は正常)設定した電流が流れていています。
※エミッタ-GND間の抵抗と電圧、あるいは
コレクタ側のデカップリング抵抗と
その両端の電圧で電流を推定できる。
GNDといっても「+接地」なんで
ややこしい。
動いていそうですが、まず手始めは、このトランジスタを
交換というのが妥当なところ。
※DC的には動いてて、高周波は
増幅しない・・・こんなことが
あるかどうか。さて?
使われていたのは日立製の『2SA12』。
ゲルマの合金接合型PNPトランジスタ。
手持ちのCQ出版『最新トランジスタ規格表』で一番古いのが
1980年版。
そのトップページの、さらにその先頭に記されていました。
しかし、手持ちの2SAゲルマTrに交換してもダメ。
状況は変わりません。
※シリコンのPNPはバイアス点が変わるので
使えない。
ゲルマとシリコンではBE間電圧が違うんで
電流が流れなくなっちゃう。
そこで・・・
信号発生器から455kHzを注入して様子を見ると・・・
注入信号の周波数を可変したら800KHzあたりで信号レベル
がバツンと増大。
基板からIFTを取り外して個別で調べても同じ。
455kHzから離れた所で同調してました。
IFTを解体してコンデンサを外したいところだったんですが、
シールドケースとベースがしっかり固定されていて、中味を
取り出せません。
しかたないので基板側にコンデンサを並列接続。
455kHzで同調するよう値を選びました。(100PFでOKだった)
※基板の様子
「IFTなんて故障しないわ」って思ってました。。。
それも、断線じゃなく同調周波数の異常
内部のコンデンサがアウトになったんでしょう。
同調周波数が上がってましたんで、コンデンサの
容量抜けでしょか。
ということで、「トランジスタラジオ用IFTの同調異常」が
故障原因。
これって、初体験かな。
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コメント
「ゲルマラジオ」と書いてあるから、最初はてっきりゲルマダイオードラジオだと思いました。
「原因はIFT」というところまで読んで、ゲルマトランジスタラジオかと気づいた次第です。
早とちりの癖はなかなか治らないものです。
投稿: mytoshi | 2021年9月21日 (火) 12時00分
タイトル、「ゲルマTrラジオ」に変えておきますわ。
確かにまぎらわしいでっす。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2021年9月21日 (火) 13時48分
老眼でtrを読み飛ばし
結局「ゲルマニュームラジオの修理」と早とちりして
同じ罠にはまりました。
投稿: Ultra | 2021年10月 2日 (土) 12時42分