修理:動いているけどまだなんかおかしい
同僚から引き継いだ修理案件でした。
※私とこでの設計製造じゃなく、修理だけ
OP-AMPとC-MOSロジックICを使った制御回路です。
ずいぶん昔の設計で、この基板の製造年は2003年。
電源はトランスで、整流して三端子レギュレータ。
※電源のゼロクロス検出が必要なので
トランスが必須。
±12Vを78L12と79L12を使って生成。
OP-AMPは±電源で動作。
C-MOSは4000番ので、OP-AMPと同じ+12Vがつながってます。
運転時でも電源電流は数mAとわずか。
※同種の制御回路、もっと昔のはツェナーダイオード
でレギってました。
「部品交換して動くようになったけど、まだなんかおかしい」
という引き継ぎ内容でした。
私にバトンタッチして電源投入。
運転開始でちゃんと動いてます。
1時間くらい放っておいても大丈夫。
うまく修理できていそうで、ぱっと見、おかしい所はないのです。
修理作業では、「なんかおかしい」「どこかあやしい」という
感覚が重要です。
「こんなもんやろ」で済ますと重大な不具合を見逃すかもしれません。
初めての回路だと暗中模索で、何が正常なのかの見極めが難しいん
ですが、何度も修理した回路です。
だいたいの勘所は分かっています。
動かないとか、異常な動作ということなら悪い部分がわかりや
すいけれど、今回は「なんかおかしい」が発端です。
電源電圧をテスターで計っても正常。
オシロで主要な信号を観察しても正常。
※動いているんですから。
しかし・・・発見。
「あれ? C-MOSのHレベル出力に微妙なリップルが出てる。」
+12Vの電源ラインを見ると同じリップルが出ています。
直流レンジにしたテスターで見るDC電圧ではこれは分かりません。
オシロで見たから「あれ?」だったのです。
となると、トランスの2次側電圧を整流・平滑した
78L12の入り口の確認。
正常だと18V~19Vくらいあるのですが、出力電圧の+12V
近くまでドロップしています。
これで+12Vラインにリップルが乗っていたのです。
ここまで分かれば、原因追及は簡単。
まずは、78L12そのものか電源側(トランスそのもの、
整流ダイオード、平滑コンデンサ)かを切り分けます。
今回は78L12が原因。
この内部で電流を食っていたのでしょう、それで
アンレギ電圧がドロップして+12V出力にリップルが発生。
78L12を交換して修理完了。
加熱したり冷やしたりすると、電源電圧がおかしくなって
動作不良が発生したのかもしれません。
リップルを含みながらも+12Vが出ていたのが、「なんかおかしい」
の原因だったのでしょう。
「まだなんかおかしい」と怪しい匂いを感じた同僚もさすがです。
※古いのだと、こんなIC(CANのOP-AMP 741)が乗った
基板も修理でやってきます。
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