富士通HR-3UTHC 2450mAh 250サイクル目で突然死か?!
5月11日に開始した「富士通の黒:HR-3UTHC 2450mAh」の
JIS C8708:2019充放電試験。
1日あたり6サイクルくらいで進んでいます。
200サイクルを無事通過。
ひょっとしてこの大容量電池、「いける子」かも・・・
期待してました。
過去、大容量電池ってみんな「ダメな子」だったんで。
今朝出社して、充放電電圧と電池側面温度を記録している
チャートを見ますと、何やらおかしなことになってます。
こんな具合。
※この土日の休みの間に250サイクル目を過ぎていました。
チャートを追いかけますと、247サイクル目までは普通に充放電。
感想的には、
・ちょっと充電終了電圧が上がってきてるなぁ。
・1日あたり6サイクルぐらいの進み方を維持してる。
ということは、充放電時間は正常
・偽の-ΔVはまだ出てない。
先週の金曜日までは、こんな感じで充放電を繰り返していました。
ところが・・・250サイクル目のゆっくり充放電の直前、
・248サイクル目の放電が短い。
・次の249サイクル目の充電電圧が上昇。
・その時の電池温度、45℃以上に上昇。
・249サイクル目の放電、放電直後1.0V以下になっている。
・250サイクル目の充電(0.2Cで16時間)も電圧上昇の
傾向がおかしい。
・250サイクル目の0.2C放電はちゃんと行われている。
・251サイクル目以降の充放電電圧変化がおかしくなってる。
充電開始直後に電圧が急上昇。
偽の-ΔVが発生。
電池温度も上昇。55℃くらいまで。
その後、-ΔVを検出して充電停止。
放電開始後すぐにに1.0Vを切ってしまい、まともに
放電できていない。
いったんサイクルを中断して、電池の内部抵抗を計ってみると「558mΩ」。
(電池が暖かい状態で)
こりゃあきません。
JISの充放電サイクル試験を繰り返している中で発生した急速な劣化。
充電池の「突然死」という感じです。
過去、あれこれ「電池イジメ」をしてきましたが、これは初体験。
後ほど、記録してある充放電データを追いかけてみます。
これが1~49サイクルでの充放電時間(赤と緑:左目盛)と
充電完了電圧(青:右目盛)の変化。
200サイクルを越えると徐々に悪化。
250サイクル目のゆっくり充放電手前で「突然死」してしまっ
た様子が出ています。
(ReVOLTESと比較するためYレンジのスケールをちょっと操作)
250サイクル手前で、放電時間がゼロに。
その後の充電時間,maxの132分まで行ってます。
ダイソーのReVOLTESではこんな↓変化でした。
・2020年5月12日:ダイソーReVOLTES単3 JIS C8708:2019充放電試験(-ΔV検出有) サイクルごとの充放電時間
さらに・・・富士通HR-3UTHCの50サイクルごとの0.2C放電
↑200サイクル目までは順調。
0.5C放電の様子。
0.5C充電の様子。
248サイクル目がちゃんと放電できなかったもんだから、
249サイクル目が充電失敗。
そして、250サイクル目の0.2Cゆっくり放電が終わった
直後の251サイクル目の充電は成功。
ちゃんと-ΔVを検出してる。
チャートでは曖昧だったけど、「偽の-ΔV」は出現してません。
放電しないまま充電したので、電池温度が上昇。
そのまま充電を続けたもんだから、電圧が低下という現象が
見えてます。
251サイクル目の放電もできずで、以後は過充電状態を
継続してます。
1~49サイクルで、0.5C放電できなかったら(今回はほんとに0分!)
50サイクル目ごとの判断を待たずに「寿命!」の判定を下すべき
かと考えます。
ReVOLTESではゆっくりと劣化が進んだんで「偽の-ΔV」の
出現を観察できました。
最初に富士通・黒をテストしてたら「偽の-ΔVってそれ何?」に
なっていたことでしょう。
これ1本の例で「あかん子」と判断するのもどうかとは思いますが、
このような「突然死」はちょっと怖いです。
電池の一般的使用状況だとすると・・・
急速充電無事に完了。そしてターゲットの機器で無事に使用完了。
これれを繰り返していて、ある日突然・・・
急速充電完了。 → ターゲットで使い始めたらいきなり電池切れ!
これが出現したんですから。
・電池あれこれ
・2020年5月11日:富士通HR-3UTHC 2450mAh JIS C8708:2019充放電試験 開始
・2020年6月 3日:富士通・黒 HR-3UTHC(2450mAh)のJIS C8708:2019充放電試験121サイクル目
富士通・黒、繰り返し使用回数に注目。
今までのJIS規格の場合約500回
新しいのJIS規格の場合約150回 ←★
注目点は回数ではなく「の」。
「新しいの」、「の」が不要です(笑)。
1行コピペして「今まで」だけを「新しい」に変えたもんだから、
「の」が残った。
おっと。 1900mAhのHR-3UTCもいっしょだ。
ちゃんと校正してほしいなぁ。
カタログの在処↓
https://www.fdk.co.jp/denchi/catalog/fdk_2020_web.pdf
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コメント
JIS C8708:2019の充放電試験、電池寿命の判断は2007や2013と同じように「50サイクルごとの0.2C放電」。
この放電時間(1.0Vまでの)が3時間を切れば寿命としてます。
(2019では2回繰り返し)
しかし・・・
今回の突然死のように、「1~49サイクルでの0.5C放電が維持できない」(内部抵抗の上昇で放電直後に電圧ドロップ)のも判断に入れるべきじゃないかと考えます。
1~49サイクルでの0.5C充電は何があっても行われます。
max132分あるいは「-ΔV検出」が充電の条件。
その次の0.5C放電、内部抵抗が大きくなるとすぐに1.0Vまで電圧が落ちてしまい、これがスキップされてしまいます。
結果、電池が満足に放電されない状態で、無理な充電が続きます。
そして50サイクル目に達して、0.1C充電後に0.2C放電。
1~49サイクルでの状態は無視して、寿命判断はこの50サイクル目の結果だけが使われます。
「突然死」の様子を見てると、1~49サイクルの様子も加味すべきではないかと思うのです。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2020年6月29日 (月) 13時44分
とりあえずこの状態(放電できずで過充電が継続)で300サイクルまで進めてみます。
その状況を見て、富士通・黒の実験は終わりにします。
しかし、徐々に劣化するんじゃなくって「いきなりアウト」はちょっと怖い。
放電サイクルに入る直前、一瞬だけ電流を流して(A/D平均値サイクルの時間)、その時の電圧ドロップを調べて内部抵抗を推定するようにするのもエエかも。
0.1A流して1mVのドロップなら10mΩ。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2020年6月30日 (火) 09時35分
過充電を継続、というのも気持ちが悪いので1~49cycの0.5C放電を0.2Cの電流=490mAに変えました。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2020年6月30日 (火) 10時57分
0.2C放電でも1分内に1.0V以下の到達ということになり(記録に残る放電持続時間はゼロ)、実験終了します。
300サイクルまで行けませんでした。
さて、次は何を試しましょう。
「エネループ・プロ」の現行品「BK-3HCD」かなぁ。
以前にイジメてたのはBK-3HCC(日本製と明記)。
性能向上してらら良いんですが。
※しかし、実験のためだけに買うの、ちょいともったいないような気が・・・
http://act-ele.c.ooco.jp/batt/batt1.htm
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2020年7月 2日 (木) 08時34分