« ダイソーReVOLTES単3 充放電実験 1~49サイクルのデータをグラフ化 | トップページ | マニュアル2冊 テクトロオシロ、MZ-80Bのモニター »

2020年3月12日 (木)

定電流回路の電流検出抵抗を試す

2020年2月17日:定電流回路の電流検出抵抗 で、電池の
充放電試験用定電流回路用電流検出抵抗の温度変化について
書きました。

その後・・・
「0.1Ω」の抵抗7種について、電流2Aと3Aを流した時の
抵抗値変化を調べてみました。
0.1Ωに2Aだと0.4W。
3Aにすると0.9W。
この電力で抵抗が発熱するわけです。

その熱で抵抗値が変化。 (たいていは値が大きくなる)
それが駆動電流の変化につながります。
変動の小さなものが理想ですが、抵抗の形状や材料により
その変動が変わります。
それを確かめてみました。

使ったのは「流し出し型の定電流回路」。
この「0.1Ω電流検出抵抗」を取り替えて、時間経過による
電流値変化を観察。
抵抗両端の電圧と出力電流から抵抗値を算出。
その変動10分間をグラフにしました。

使ったのは三和のテスター「PC700」を2台。
アダプタを使えばUSBでPCにつながります。
「光」で結合してるのでPCおよび各テスター間は
絶縁できるという仕掛けです。

実験中の様子
A2_20200312101201

右上の黒いのがFETのヒートシンク。
その下が出力負荷抵抗。
中央緑のが作った回路。
左に2台のテスター。

回路の拡大
A3_20200312101301

OP-AMPはMCP6072 。 入出力Rail-to-Rail。
こんな回路になってます。

A1_20200312101601
右上のR9が電流検出抵抗。
これをとっかえひっかえてテスト。
電流値はVR1で設定。
OP-AMPの電源がその基準になるので、その配線に注意です。
3A流すと、けっこう電圧ドロップしますんで。

これが調べた抵抗7種類。
C11j

5Wセメントと酸金のはパーツ箱のストックから。

RWM4X10 は昔々にデジキーで買った「ホウロウ巻線型」の3W。
カタログでは「Enamelled Wirewound Power Resistors」と。
温度係数が「+75 ppm/°C」とプラスであると明記されてます。
   普通は「±xx ppm/℃」っと表記

SMW5MPC74 は秋月で買いました。
MSR5 は先日の記事に出てきた「コの字状抵抗」。

さてその結果・・・ まずは電流2Aから。
Cap023
5Wセメント抵抗は10分経過してもまだ落ち着きません。

そして3A。 電流1.5倍で電力は2.25倍の0.9W。

Cap024

これを見ると、秋月で買ったMPC74がむちゃエエ。
この抵抗、全部で5つ買ったんで、個別の違いがあるか見てみます。

三和のテスター2台からこんなデータ列(CSV)が1秒ごとに得られます。
  (三和の専用ソフトが必要・・・ちょっと不便)
#セメント 5W 3A
00:00:04,3.018,DCA,,,300.2,DCmV,,
00:00:05,3.014,DCA,,,300.2,DCmV,,
00:00:06,3.011,DCA,,,300.2,DCmV,,
00:00:07,3.009,DCA,,,300.2,DCmV,,
00:00:08,3.007,DCA,,,300.2,DCmV,,
00:00:09,3.005,DCA,,,300.2,DCmV,,
00:00:10,3.004,DCA,,,300.2,DCmV,,

左端が測定開始からの経過秒数。時:分:秒。
電流値と測定レンジ、電圧値とレンジが続きます。

「GNUPLOT」のスクリプトがこんな具合。
「set datafile separator ","」で「CSV」に対応させます。

set title "電流を3A流した時の0.1Ω抵抗の抵抗値変化 (消費電力=0.9W)"
r1 = 300.2 / 3.018 # セメント5W (mV/A)
r2 = 300.3 / 2.958 # RWM4X10
r3 = 300.0 / 2.920 # SMW5
r4 = 300.3 / 2.985 # 酸金3W
r5 = 300.4 / 2.948 # 酸金5W
r6 = 300.3 / 3.011 # MSR5
r7 = 300.1 / 2.954 # MPC74
set term wxt 0
set datafile separator ","
set xrange [0:10]
set yrange [-0.5:2.0]
set xlabel "経過時間(分)"
set ylabel "抵抗値変化(%)"
set grid
set xtics 1
set ytics 0.5
set ytics format "%+3.1f"
set key right bottom
plot "3A_cmt5W.txt" using ($0/60):(100*((($6/$2)-r1)/r1)) with lines lw 2 smooth bezier ti "セメント5W",\
"3A_RWM4X10.txt" using ($0/60):(100*((($6/$2)-r2)/r2)) with lines lw 2 smooth bezier ti "RWM4X10",\
"3A_SMW5.txt" using ($0/60):(100*((($6/$2)-r3)/r3)) with lines lw 2 smooth bezier ti "SMW5",\
"3A_sk3W.txt" using ($0/60):(100*((($6/$2)-r4)/r4)) with lines lw 2 smooth bezier ti "酸金3W",\
"3A_sk5W.txt" using ($0/60):(100*((($6/$2)-r5)/r5)) with lines lw 2 smooth bezier ti "酸金5W",\
"3A_MSR5.txt" using ($0/60):(100*((($6/$2)-r6)/r6)) with lines lw 2 smooth bezier ti "MSR5",\
"3A_MPC74.txt" using ($0/60):(100*((($6/$2)-r7)/r7)) with lines lw 2 smooth bezier ti "MPC74"

いちばん最初の電圧電流から初期抵抗値を求めて、この値からの
変動を「%」で得ます。

「$0」はデータ列の順番。1行1秒なので1/60して分に。
「$6」「$2」はCSVのデータ順で、「$6」が電圧(mV)で
「$2」が電流(A)。


※追記
5つある「MPC74 0.1Ω」、これを「3A」で試してみました。
結果
Cap025_20200312141201

通電を開始して最初の5分間だけの変動ですが、むちゃイイ。
こうなると、「これの他の抵抗値はどうや?」を調べたくなります。
あと、通電後の表面温度変化も。
応答が良い温度センサーとなると熱電対なんですが、手持ちのは
表示だけしかできません。
シリアルで数値出力、あるいはアナログ出力できる熱電対対応
温度計を作らなあかんかなぁ。

※追記
MPC74・0.1Ω、1つ割ってみました。
11_20200313162401
板状の抵抗体になっていました。

一般的なセメント抵抗の中身はこちらを↓
2006年12月11日:壮絶死#2 5W51Ωと1Ω
2009年07月02日:壮絶死#6 10W10Ω
2009年07月07日:壮絶死#8 10W10Ω
2014年11月28日:壮絶死:裸になったセメント抵抗



|

« ダイソーReVOLTES単3 充放電実験 1~49サイクルのデータをグラフ化 | トップページ | マニュアル2冊 テクトロオシロ、MZ-80Bのモニター »

電池」カテゴリの記事

電子工作」カテゴリの記事

gnuplot」カテゴリの記事

コメント

「MPC74」、秋月では0.1Ωが最小値。
1個50円。
1A~2Aくらいの電流域で使う0.1Ωの電流検出抵抗はこれに決まりかな。

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2020年3月13日 (金) 18時00分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ダイソーReVOLTES単3 充放電実験 1~49サイクルのデータをグラフ化 | トップページ | マニュアル2冊 テクトロオシロ、MZ-80Bのモニター »