連動プッシュスイッチの不調
「プッシュスイッチが保持されない」という修理依頼。
アルプス製の5連プッシュスイッチです。
ボタンを押しても押したボタンが保持されずに戻ってきてしまうというメカ的トラブルです。
この種のスイッチ、押したボタンを保持するためのロック機構、ほんとにうまいこと出来ています。
・ボタンを押す。
・その力で、保持されている他のボタンのロックを解除。
・押し込んだボタンをロック。
これを担っているのがたった「1つ」のスプリング。
それがどこかに飛んでしまったようです。
※ケース内に無かったんで、通風穴から出てしまったのか、
自力修理で箱を開けた時に落ちてしまったのか・・・
「圧縮コイル型のバネ」の1.5~2Φくらいの小さいのが必要。
何か適当なものはないかと探したら、シャープペンシルの芯出し機構に使われているバネが使えました。
使っていない古いシャープペンシルを解体してバネを取り出し。
※引っ張り型のバネは、小型リレーから外したものなどが
ジャンク箱に入っていたんですが・・・
メカ的にはこれで修繕できました。
ところが・・・
修理後、スイッチを回路につないで動かすとうまく機能しません。
「なぜ?」です。
オシロで追いかけると、こんなことが分かりました。
ちょいと図示します。
スイッチのロック解除操作で「全接点がオフするタイミング」が生じます。
回路ではこれを使って「スイッチが切り替わった」を検出していたのです。
※マイコンじゃなく、ロジックICを使った制御回路。
スプリングを変えたことでこのタイミングが短くなり、回路が想定していたオフ時間が守れなくなってしまったのです。
「スイッチ切り替全オフ検出」で出るパルスをモノマルチ2段で遅延させ、新保持データのラッチと制御タイミングの初期化を行っています。
全オフ検出のチャタリング除去時間内に切り替わってしまい、全オフが生じたことを検出できず、制御用パルスが出なくなってしまったのでした。
回路定数から推定すると「10mS以上のオフ時間がある」と考えていたようです。
スプリングを「弱め」にする方法で解決しようかと考えたのですが、スイッチ機構へのスプリングの装着がけっこう微妙だったので、チャタリング除去回路のCR遅延回路を触って解決しました。
とりあえず、これで様子を見てもらいます。
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コメント
こういう分析もの。たのしいですね。
投稿: きゅうる村 | 2019年9月29日 (日) 08時51分