またまた図書館で借りてきた本。
サブタイトルが「退くも進むも、そこは地獄の1丁目」。

「PWR」と「BWR」、どっちがエエねんを論じられてる・・・
自身を「設計者」と呼ばれてますんで、信頼できる本かと
思ったんですが・・・・
「第1章:原発との遭遇」からちょいと、アレレ?な記述が。
『当時の東海1号炉・・・ その熱で金属ナトリウムを熱する。
・・・ 現在は水が主だが、当時東海1号炉の熱媒体は
金属ナトリウムであった。』
ちょいちょい。
の2炉だけでしょ。
そして、同じ章、13頁。
『数年後、福井県敦賀原発「ふげん」の建設にあたっても・・・
・・・そこが東海原発と同型の原子炉(PWR)を採用したことも
あって、・・・』
おいおい。
「ふげん」 は重水減速・軽水冷却、圧力管型で、通常の原子炉
(PWR、BWR)とはちょい違う。
※「ふげん」は仕事で絡んだんで。
まだある。 15頁。
『もともとBWRは原子力潜水艦用で、小型、軽量、効率的で
合理的な原子炉であった。しかし、そこには安全性が欠如
しており、福島第一原発事故で、BWRの想定された問題
が問われている。』
文頭のBWR、誤植かと思ったんですが、後半の文から誤植じゃなく
勘違い:思い違いであることが分かります。
また、33頁にも
『動力炉・核燃料開発事業団の大山彰先生の著書にも
書かれているが、最初に開発されたのが加圧水型(PWR)で、
その後、原子力潜水艦用に開発されたのが沸騰水型(BWR)
である。・・・』
とあり、かんぺきに技術史を間違っておられます。
原子力潜水艦の炉型は「PWR」でっす。
「もっと安全な炉を作って動かしてみようぜ!」っとか
「やっぱ核融合やろ!」っという、「20世紀からの夢の実現」は
まだまだ遠いようです。
言っちゃおう。
オリンピックに使う予算をかけたら、別の夢の実現に近づけたのかも
しれない。
※追記:ふげんについて
「原子炉圧力容器」は無い。 (格納容器はある)
炉心にある224本の圧力管それぞれに入っている燃料集合体が「燃え」(核分裂)る。
近い。
ふげん:減速材は重水
チェルノブイリ:減速材は黒鉛
沸いた「湯」は、蒸気に分離して、そのままタービンを回す。
PWRの蒸気発生器ではない
運転しながら燃料交換できる。
濃縮ウラン以外も燃料になる。 (天然ウランもプルトニウムも使える)
重水が高価。
圧力管を出入りする配管(冷却水が通る)がむちゃ複雑。