反転型チャージ・ポンプIC:LM2776
トランジスタ技術 2011年1月号 (創刊555号記念感謝号 PartII)の特集記事「定番デバイス 555」に、スイッチド・キャパシタIC(負電源出力)の特性調査を載せてもらったことがあります。
反転型チャージ・ポンプの代表はICL7660 。
プラス5Vを入れるとマイナス5Vが出てくるという仕掛け。
コイルを使わないので、魔法のようなICです。
この記事では最も古典的なICL7660をはじめ、MAX660、LM2660、LM2662、LM2664、それとTPS60402、60403の特性を調べました。
編集部に提出した元記事では、ICの特性調査が主目的ではなく、チャージ・ポンプICの特性を調べる回路の製作記事とその制御プログラムの解説がメインだったのです。
ところが、製作記事がカットされて、特性データだけが掲載されたといういきさつがあります。
チャージポンプIC、その定番的な選択基準ですが、
・ICL7660、取り出せる電流が小さい。
そのわりにちょいと高いんで、使わない。
・100mAほどいるならLM2662あたり。
・ちょいとmAで良いのならTPS60402とか60403。 安価。
先日のこと、新規設計で「新しいチャージ・ポンプICってあるんかな?」っと調べてましたら、表題の素子LM2776 を見つけました。
このICのブロック図を見ると、新しい考えで設計されているのが分かります。
従来のチャージポンプICはこんな内部回路でマイナス電圧を発生させています。
データシートには、こんな出力電流・出力電圧の特性カーブが出ています。
だもんで、電流の小さい所の状態が「良く見えて」います。
測定機材を引っ張り出してきて(ひさしぶりだったので発掘に時間が・・・)、LM2776の様子を調べてみました。
測定機材を引っ張り出してきて(ひさしぶりだったので発掘に時間が・・・)、LM2776の様子を調べてみました。
入力電圧+3.0Vから+5.5Vまで0.5Vステップで可変。
出力電流は0mAから-250mAまで-10mAステップで可変。
負荷電流=0の時は、少し電圧が低くなっていますが、LM2662に比べるとドロップの具合が改善されています。
※LM2662は電源電圧3V未満でも動作しています。
ちなみに、ICL7660ではこんな特性になります。
入出力と電圧反転用コンデンサは、アルミ電解とOSコンの2種を試しています。

電圧ドロップが大きいのがわかるかと思います。
常用しているTPS60403だと、こんな具合。

ちなみに、ICL7660ではこんな特性になります。
入出力と電圧反転用コンデンサは、アルミ電解とOSコンの2種を試しています。

電圧ドロップが大きいのがわかるかと思います。
常用しているTPS60403だと、こんな具合。

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コメント
これで-5Vを得ようと回路を組んだら・・・
いきなりVin入力に5Vを加えると(徐々に電圧がアップするんじゃなく)、スタートアップしません。
ゆっくり10mSくらいかけて上昇するVinならok。
Vinが3Vくらいなら、いきなりでもok。
困ったぞ。 もうちょい調べてみます。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2020年10月14日 (水) 18時01分
現象の詳細
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-92721c.html
解決策見つからず。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2020年10月15日 (木) 10時58分
解決しました。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2020年10月16日 (金) 10時19分