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2018年6月 6日 (水)

マイコンのリセット回路

古いCPUを使った工作で、「回路の消費電流が小さいと、マイコンのパワーオンリセットがうまくいかない」問題に悩んでおられるようです。

これ、原因の一部はシュミット入力のヒステリシスは電源電圧に依存するということ。
リセット検出ラインがシュミットになっているんで、ついつい安心してしまうんですが、中途半端な電圧低下だとリセットパルスが出てきません。
ちゃんとするには、「電圧低下」をきちんと検出して、リセットタイミングを作るコンデンサを放電しなければなりません。

BOD回路がマイコンに内蔵されていたら積極的に使いましょう。
しかし、便利なBOD、古~いマイコンには搭載されてません。

そこで外付けの電圧検出ICの出番です。
手抜きのパワーオンリセット回路がこれ。
電源電圧が落ちると、ダイオードを通してコンデンサが放電。
次回のパワーオンではリセットパルスが出るだろうと。
Q1
しかし、電源電圧低下が中途半端だとアウト。
リセット起動に失敗します。

その具体例を引っ張り出してきました。「TK-80」の回路図です。

R2

   ※図面の日付 : 1976年6月10日  設計:T.Goto さん。

01

クロックジェネレータのリセット入力に、リセットボタンとともにつながっています。
特徴的なのが「Vbb -5V」の発生。
クロック出力を倍電圧(P-P値)整流しています。
8080は+5V、+12v、-5Vの3電源。
TK-80の-5Vは基板内で作っていましたんで、5Vと12Vで動いていました。

昔、リセットIC(電圧検出)でよく使っていたのがこんな回路。
Q2
「PST600」はミツミ製。
オープンコレクタなんで、外部からもリセット信号を与えることができます。
その後、消費電流が小さなS-80845(セイコーインスツル)に代替わり。
Q3
リセットスイッチ、コンデンサを直にGNDに落とすんではなく突入電流制限抵抗(100Ωでok)を入れておくと安心。
このあたりの具体例。  私の製作物から。
  (クリックで拡大↓)
R1
    ※この図は1989年10月 PC-9801のOrCADで書いてます。

マイコンは日立の「63701」。
リセットICはPST-520。
    ※プルアップ抵抗は集合抵抗でして、図の範囲外にいます
シュミットで受けて、さらに遅延させてリセット信号を発生。
リセットがLになる前に、NMI信号を発生させて「停電」を通知。
左下にはスーパーCAPによるバックアップ回路。

最近になると、マイコンのデバッグツールが出すリセットパルスを考えておかなくてはなりません。
従来のパワーオンリセット回路につなぐと、リセット時間が長くってデバッグツールが動いてくれません。
そこで、こんな対策をすることになります。
Q4
パワーオンリセットとデバッガからのリセット信号をゲートでOR。
しかしこれは面倒。

そこで、最近はこんなリセットICを使っています。
オープンコレクタ(オープンドレイン)ではなくCMOS出力。
ただし、デバッガーのリセット出力とは直接つなげません。
そこで、間に抵抗を挿入。
デバッガーのリセット信号を優先するようにしときます。
Q5

「BD5345」は、外付けCTでリセット時間が決まります。
もうひとつ、こんなの。
Q6
「STM811」は、リセット時間は内部固定で、外付けのリセットボタンをつなげるようになっています。
最近のリセットIC、いろんな検出電圧のが入手できるんで適材適所で。

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コメント

ありがとうございます。
やはり、確実なリセットを行うには、専用ICを使うのが1番なのでしょうね。
まあ、今回のように、古いC-MOSタイプのCPUをUSBシリアル変換モジュールで繋ぐ(しかもTTLレベルのまま)なんて、当時では想定外でしょうね。
ところで、オープンコレクタは、ワイヤードORができますが、C-MOSタイプの場合には保護用抵抗の挿入が必要ですね。これ、100Ωから1kの間と予想していますが、毎回最大出力電流を調べてそれを超えない範囲で決めるものなのでしょうか。

投稿: DAI | 2018年6月 6日 (水) 21時10分

CMOS出力のリセットICがHを出している時(リセット期間終了後)、マイコン側のリセット入力から見ると、「間」の抵抗はプルアップ抵抗に見えます。
だもんで、100Ωは小さい。
まぁ、1k~4.7kあたりでしょう。
デバッガー側のリセット出力駆動能力しだいとなります。

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2018年6月 7日 (木) 10時17分

TK-80の誕生日(回路図の)、6月10日ということで、もうすぐ・・・

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2018年6月 7日 (木) 10時19分

記事にアップした回路図は、私が買ったTK-80のハードウェア・マニュアルのもの。
設計者のサイン左上の回路(555で発振)は、8桁LED表示回路のための「DMA」を行っているカウンタ回路になります。
3bitのアドレスを循環。

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2018年6月 7日 (木) 19時34分

ありがとうございます。
ただの緩衝目的なら100Ω~600Ωくらいと思ったのですが、ここはちょっと違うぞ、と1kまで広げました。
まだまだ迷いがあったのですが、やはり、さらに上でしたか。
プルアップ抵抗と言われれば、確かに、納得です。
TK-80は高校時代に先輩の物を1度触ったことがあります。
ちょっと触らせて、が、2時間越え、先輩があきれていた記憶があります。
自分でも買っていたら人生変わっていたかもしれません、なんて。

投稿: DAI | 2018年6月 7日 (木) 20時57分

TK-80の発売日、1976年8月3日だったとのこと。
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2021/08/post-4c3e10.html

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2021年8月 4日 (水) 11時23分

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