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2018年3月 9日 (金)

放電特性記録機能付きバッテリー放電器、改造

仕事場 でキット頒布していました放電特性記録機能付きバッテリー放電器 、現在、最後の頒布 を行っています。
で、先日のこと、この放電器の完成品を買っていただいた方から「調子が悪いから見てほしい」という依頼がありました。

拝見すると・・・
BULGIN社製電池ホルダー 電極の汚れが原因。
電池との接触が悪くなっていました。

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長年使っていただき、ちょいと汚くなっています。
綿棒の先にIPAを付けてゴシゴシ。
これでも効果はあるんですが、せっかくだからと取り出してきたのがリュータとゴム砥石。

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「きゅい~ん」と磨き上げます。

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BULGINの電池ホルダー電極、メッキじゃなく「ニッケルシルバー(洋白)」ですんで、こんな作業ができます。
その結果です。
電池を装着して放電した時の、電池電極と電池ホルダー間の電圧差をテスターで調べると接触状況がわかります。
値が小さい方が「良」。

・対策前 単位:mV
 電極 1 2 3 4
-------------
 +側 40  7 20  8mV
 -側  4 14 130 120mV

・綿棒+アルコールで洗浄
 電極 1 2 3 4
-------------
 +側  4  3  7  5mV
 -側  3  3  4  6mV

・ゴム砥石で研磨
 電極 1 2 3 4
-------------
 +側  3  3  4  3mV
 -側  3  3  3  4mV

ということで、ずいぶん改善されました。

もう一つ「できないかなぁ」とのお話が、通信ポートの改良です。
もともとRS-232CでPCとシリアル通信。
昔のPCは、RS-232Cが標準装備だったんで、気楽に使えました。
それを「USBでつなぎたいな~」というわけです。
秋月電子通商の超小型USBシリアル変換モジュール [AE-FT234X] を買ってあったので、つないでみることにしました。
条件的には、
 ・現状のシリアルポートも使えるように(USBかどちらか選ぶ)
 ・電池運用はそのままで
ということで、この変換モジュールをつないでも、現状のシリアル通信回路と競合しないことの確認からスタートです。
モジュールをUSBにつながない場合は、PICマイコンのTXD、RXDとも信号は大丈夫。
シリアル通信は現状のまま通ります。

ところが、USBケーブルをつないだ時に問題が発生。
 ・FT234XのTXDは「3.3V」出力。
  USBをつながない時はフローティングとなり、シリアル受信し
  ているトランジスタとは競合しない。
 ・しかし、モジュールのTXD出力にPICのRXDと直結すると、
  USBを接続した時に、放電器がスタンバイ状態でもプル
  アップ抵抗を通じて電流がFT234Xに流れ込み
   (PICのVcc→抵抗→USBの3.3V)電池を消耗する。
      (Vcc4.5Vで0.3mA程度)
 ・スタンバイ状態での放電器、消費電流は1uAほどなんで
  電池での運用に関し、これは大問題。
  USBにつないだまま放置できないわけで。
 ・もう一つ問題。 PICのRXD入力にはシュミット回路が装備
  されているので、Vcc=電池電圧が高い時、入力Hレベル
  (FT234XのTXD、Hレベルは3.3V)が不足し、受信できなくなって
  しまう。

ということで、FT234XのTXD出力とPICのRXD入力間にレベルシフト回路を入れることにしました。
NPNトランジスタを一つ使います。
最終的にこんな回路になりました。
黄色部分が追加箇所。
    (クリックで拡大↓)
Usb_4
問題はレベルシフタのための「USB 3.3V」の取り出し。
このジャンパ線、ハンダ付けは顕微鏡下の作業です。

まず、モジュールを基板にくっつけます。
カプトンテープで絶縁して、レジストを削って露出させたGNDパターンとモジュールのUSBコネクタをハンダして固定します。
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そこにレベルシフタの役目をするNPNデジトラをハンダ付け。22

接続先となるPICマイコンの足はすぐそば。

別角度から
23

困難な作業がモジュールからの3.3V電源の取り出し。
FT234Xの3番ピンにつながっているコンデンサ(C1)にポリウレタン線(0.26mm)をハンダして引き出します。
拡大↓
24

ということで、バッテリー放電器回路、最後のあがきでした。

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トレラントに関するあれこれ。
https://support.renesas.com/hc/ja/articles/210900458-FAQ-1008863-%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88-Tolerant-

投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2018年3月 9日 (金) 14時34分

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