パルスの数を数えたい
とある回路の動作検証で、
「回路が出すパルスの数を数えたいな~」
っとなりまして、カウンタを捜索。
必要数は二つ。
パルスのサイクルは早くても毎秒1回とゆっくり。
探し出して出てくるのは、まずこれ。
・C-MOS ICで構成した2相パルスカウンタ
入力を切り替えれば、2相パルスの計数だけじゃなく、
UP/DOWN独立したパルスのカウントも可能なんです。
バッテリ動作なんでカウント値は保持しますし、まず
一つはこれを使うことにしました。
しかし、これ↓はAC100V動作だし、2相パルスの計数専用です。
・29年前に作ったツール:スケーリング機能付アップダウン・カウンタ
停電するとクリアされちゃうんで、これは使えません。
あとどっかにあったかな?っと探すと・・・
・24V動作の電磁カウンタ
停電しても計数値は保持してくれるんで仕様としては
満足していますが、24V電源と駆動回路を用意しなくちゃ
なりませんので、ちょい面倒。
パナの4桁カウンタ …これは、装置に組み込まれて出て行ったし。
オムロンのこのシリーズ H7EC-N でも買えばっと思ったんですが、
数千円します。
そこで考えたのが「百均で売っている歩数計」。
これを改造すれば外部パルスを数えるカウンタに
なるんじゃないかと。
電池で動くんで、カウント値の保持もできるだろうしっと。
ネットを探すと、あれこれ出てきます。
※検索 : 百均歩数計をカウンタに改造
・100円 ユニバーサル・デジタルカウンタ:気の迷い
・100円ショップの万歩計(歩数計)の高速化、ダイソー編:ラジオペンチ
・100円ショップの万歩計の高速化、キャンドゥ編:ラジオペンチ
・100均の歩数計(万歩計)を計数器として改造する方法:air variable blog
皆さん、工夫して使っておられます。
ということで、近所のダイソーに出かけて買ってきました。
(仕事場の北600mばかりのところにあるダイソー大今里店)
しかし、しかし。 大失敗。
買ってきたこの歩数計、「オートパワーオフ」機能が
搭載されているのです。
歩みを止めると数分でカウント表示が消えます。
これではあきません。
説明書をちゃんと読まなかった私がアホ。
(歩数計はいいのを持ってるんで、ゴミになっ
ちゃいました)
近所にある他の百均屋さん、近鉄今里駅前のエコープラザ今里店。
仕事場から南東に直線で500mほど。
ダイソーで見たのと同じ「オートパワーオフ機能搭載」
のも置かれてましたが、ネットで見たようなカタチのが
あったんで、「オートパワーオフうんたら」と書かれて
いないのを確認してからレジへ。
とりあえず一つだけ。
それがこれ。
電池絶縁のスリップを抜くと表示し始めました。
オートパワーオフしません。
そして・・・さっそく解体。
ざっと、基板のパターンを回路にするとこんな具合。
※基板には、C1~C4など部品名は記されていません。
C4を実測値(外して計った)
制御仕様 : 外部の電圧が「H/L」を繰り返したらカウント。
改造はこんな具合にします。
体動検出機構の信号線に、抵抗内蔵トランジスタを2つ
(PNPとNPN)付加して、GND基準の正電圧を検出します。
GNDパターンに穴を開けて、NPNのエミッタを挿しています。
電線はホットボンドで固定。
二つのカウンタをパルス発生器につないで、動作確認。
百均カウンタの応答速度を測ってみると、(電池電圧1.50V)
周期205mSなら正常にカウント。
周期がこれより短くなると、カウントが飛びます。
ざっと「4Hz」くらいまでは大丈夫かと。 (デューティー50%で)
で、この応答周波数実験の時に気がついたのが、「あれま」
な仕様。
リセットスイッチ押したとき、カウントパルスが入っている
とリセットしない。
リセットオンで「表示が88888」になるけれど、パルスが
止まらないと「0」にならない。
これは運用でカバーしましょう。
もうひとつ気になるのが消費電流。
手持ちの抵抗内蔵PNPトランジスタを使ったんで、
入力オン時はQ1のR1(4.7KΩ)が負荷になって電流が
増大します。
電池電圧と電池電流の関係はこんな具合です。
電池 入力
電圧 オフ時 オン時
1.5V 4.8uA 175uA
1.4V 4.3uA 155uA
1.3V 3.8uA 135uA
1.2V 3.3uA 115uA
1.1V 2.8uA 96uA
1.0V 2.8uA 79uA (液晶暗く)
(電池電圧 - TrBE電圧) ÷ 4.7K で、Q1のベース電流
が計算できます。
これはもったいないんで、Q1はデジトラじゃなく、普通の
PNPトランジスタにもっと大きな抵抗を外付けする方が
良いでしょう。
こんな感じかな↓
これで、オン時の電流、1/10になるでしょう。
そうそう。
1Vでも動作させたいので、Q1のR1とR2の比率に注意。
「R1=R2」のデジトラだと、電圧が低くなった時に
Q1がオフのままなんてことになります。
※体験
・BQ390充電時間表示器
↑
この中にデジトラ抵抗比でのトラブル体験の記述
があります。
近々、もう一個買ってきて、低消費電流版を作ってみます。
(無くならないあいだに買っておかなくちゃ)
他品種の百均歩数計、パルス入力とリセットの関係はどん
なもんでしょう?
オートパワーオフも腹立たしいような(笑)
このオートパワーオフするの、何かに使えますかな?
※アイデア求む
※その後
・カウントスピードを高速にするため
回路の発振抵抗 元620kΩ これを100kΩに交換
・オン時電流を減らすため
Q1を2SA1048に
R1を100kΩに
R2を470kΩに
これで、
電池電圧1.5Vの時:22Hz、 1.3Vの時:19Hzを
カウント。
消費電流は、
電池 入力
電圧 オフ時 オン時
1.5V 22uA 31uA
1.4V 19uA 28uA
1.3V 17uA 24uA
1.2V 14uA 20uA
1.1V 12uA 17uA
1.0V 9uA 14uA (液晶暗く)
待機時電流は4~5倍に多くなりましたが、
オン時の電流が減りました。
使わない時は「電池を抜いておく」という処置が
必須です。
もう一つ。
電池を入れて動作を始めるとき、一発以上パルスが
入らないと、表示がブランクになったままということが
ありました。
リセットボタンを押してもブランクのまま。
「壊れたの?」っと思ってしまいますが、一発パルスが入ると
表示が出て、以後、カウントが進みます。
この歩数計、全部で4つ手に入れました。
パルスカウントの改造、今回はトランジスタを二つ使って
入力ラインと+Vラインを短絡させる回路を作りました。
残りのカウンタは、ゲートICを使ってレベル変換し、オン時に
電流が増えないような回路を試してみようかと考えています。
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コメント
かなり昔、電卓を使った事があります。
まだ万歩計が一般的ではなく、単三電池で電卓が動いていた時代。
「1+」の後、「=」キーを押下した回数だけカウントアップします。
4hz以上はいけた記憶があります。
1+==== と操作する事が電卓の取説にも書かれていました。何に使う目的だっけなぁ?
ところで、前述のシャッタのカギはどうなりました?
電動シャッタは上と下はA接点ですが、停止はB接点ですから、停止釦故障の時は開けられないと厄介ですね。
結果がとても気になります。
ガレージ仲間に得意な人がいたりして・・・。
投稿: 電卓は? | 2017年9月 8日 (金) 17時11分
電卓だとキーがマトリクスになってて、それを
スキャンしているんで、単純なトランジスタで
うまくスイッチできるかどうかが不明かと。
接点なら大丈夫でしょうけれど。
シャッター操作盤の鍵、とりあえずは急いで
いませんし、プロ(お金をもらって)での仕事
じゃありませんので。
お友達へのお助け仕事という分類です。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2017年9月 9日 (土) 09時36分
昨夕、この同じ歩数計をエコープラザで買ってきました。
「計数中はリセットできない」という問題が無ければ
もっと買うんですが、とりあえず一つ確保。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2017年9月 9日 (土) 09時42分
今日はペコ連れで近所の百均屋めぐり。
(店中探索中は女房がペコと外待ち)
「玉造」駅近所の1店は閉店してました。
で、売られている「歩数計」を見たところ、
その全部に「オートパワーオフ機能」が装備
されておりました。
だもんで、一つも買わず。
「今里」のをもうちょい買い足しておくかっと。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2017年9月 9日 (土) 21時42分
オートパワーオフの無い歩数計って
「絶滅品種」なんでしょなぁ。
「今里」以外、ご近所では見当たりません。
ちょい、もったいないような・・・
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2017年9月12日 (火) 21時47分
C-MOS 2相パルスカウンタの入力部回路
回路図、発掘
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/c-mos-2-b2c7.html
沖のIC、MSM5210の応用回路。
C-MOSなんで、動作電圧範囲が広い。
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2017年9月12日 (火) 22時39分
4台ともカウンタに改造しました。
http://igarage.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-7257.html
投稿: 居酒屋ガレージ店主(JH3DBO) | 2017年11月18日 (土) 17時49分